響きはひとつになる
私の町の公立中学は部活動が必修でした。
事前のリサーチでほぼ帰宅部だと噂の部に入部してはじめて、数年前に赴任されてきた顧問の先生により、その部活が様変わりしていたことを知りました。朝練はある、土日だってそう、「今日は○時に終わるぞ。」と言っておきながら予定通り終われたことなんてなかった。それだけご自分の時間を裂き生徒に全力で向かう姿勢は、生徒だけでなくその保護者からも絶大な人気で、繊細な感性と豪快なキャラクターは誰しもを魅了する顧問でした。
しかし私は当初の思惑が外れたことや思春期特有の素直になれぬ感情や顧問のあまりにも強いエネルギーに困惑し続けました。
卒業して30年近く経った頃、その学校が閉校することとなり、その顧問の先生の指揮により記念のコンサートが開かれました。
四半世紀を過ぎて再び先生の元で演奏する機会を得てようやく、いかに沢山の大切な経験や教えをいただいていたのかに気付き、あの当時のあの時間が今の自分の礎となっていたことに愕然し、時を超え当時の先生と同い年くらいになってはじめて先生に感謝する気持ちを持つことができ、謝罪の気持ちも合わせて伝えることがでしました。