新人研修日誌2019

【10】「外郎売り」

2019.8.9 Fri.
担当:近藤夏子
こんにちは。近藤夏子です。

厳しい暑さが続いていますね。
こまめな水分補給をするなど、暑さ対策をしっかりとして下さい。


皆さん、「外郎売り」というものをご存知ですか?
これは、二代目市川團十郎が享保三年 正月の森田座で、『若緑勢曽我』の中のひとつの趣向として演じ、早口の自在な言い立ての面白さで大評判となりました。
以後、代々の團十郎が色々な狂言の中で演じ、今では「歌舞伎十八番」のひとつになっているものです。

これは、アナウンサーや役者など、声を使って仕事をしている人たちの間で、発声・発音・滑舌のトレーニング教材として利用されることが多く
私たちも練習をしています。

この「外郎売り」の中に出てくる「ういろう」は今でも小田原で購入できます。
そこで、私たちは実際に小田原へ行ってきました。

明治十八年築の蔵を利用した博物館で
二十五代 外郎藤右衛門さんに、外郎家の歴史について説明して頂きました。

この「ういろう」とは2つのものがあり
小さな銀色の丸薬の「薬のういろう」と
黒砂糖を使った米粉の蒸菓子の「お菓子のういろう」があります。
この「ういろう」は、外郎家で製造され、外郎家で約六百年の伝統を保っています。

かつて店を閉じなければならない危機にあった時、地元の人に助けられたそうです。
外郎さんのお話を伺っていると「恩返しをしたい」という気持ちから人々や地域を大切にする心や、
使う人を想い、手間を惜しまず丁寧にひとつひとつ手作りする職人としての”ものづくりの心”
など、相手を想う気持ちが伝わってきました。
信頼関係があるからこそ、長い間、小田原で伝統を守り続けていられるのだと感じました。

外郎さんは「こだわりをもってものづくりをし、文化と共に広めたい。そしてそこで出会う方々との縁を喜びとして、これからも伝統を繋げていきたい」と仰っていました。

代々の想いを大切に、また関係する伝統文化との交流を絶やさず続けていくことが
今も長く愛されている理由だと思いました。

外郎さん、ありがとうございました!!
学び多き日となりました。
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それぞれお土産のういろうを買って帰りました。