東京・渋谷。雑居ビルにある四畳半のオフィスに、数人の社員がひしめき合っている。
創業2年目で、日本の電動バイク市場のシェアトップとなった、テラモーターズの本社だ。
経営の指揮をとるのは、徳重徹社長、43歳。

徳重は、大手メーカーにはマネのできない生産方法をとる。
それは、パソコンを組み立てるようにバイクを製造する「水平分業」。国内に工場はなく、
各国のメーカーから最適なパーツを取り寄せて、海外の工場で組み立てる。
1つの企業が開発・生産のすべてを受け持つ「垂直統合」に比べて、
低コストで、市場のニーズに合わせたスピード感のある生産が可能となる。
製品完成までの期間は、なんと既存の企業の4分の1！
徳重は言う―　『日本人の協調性、真面目さに、アグレッシブなチャレンジ精神が
結び付けば、間違いなく世界で勝っていけます』

大学を卒業後、大手損保に入社した徳重。
だが、『世の中を変える大きなことがしたい』と3年で退社した。
新たなチャレンジに尻込みしがちな日本社会を自分が変えよう、とアメリカへ渡った徳重は、
MBA取得後、シリコンバレーに飛び込んだ。そこで、あるＩＴ企業の存在に衝撃を受ける。

『Change(チェンジ) the(ザ) World(ワールド)〜世界を変える！』
エンジンの代わりに、モーターを動力源とするバイク作りで“EV革命”を起こし、
“空気を汚さない”という強みでアジア市場に打って出る、リーダー徳重の挑戦を追う。