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(1)「美空ひばりインナーレポート〜人生泣き笑い〜」聴きどころ2021.12.9

写真 ■自身の弱さの告白
「女王」の称号を欲しいままにした戦後最大のスーパースターが、率直に自身の弱さを吐露しています。その肉声をそのまま聞き取ることができます。美空ひばりは、一人きりになった孤独、寂しさ、「女王」を生きる悩みと悲しさを率直に語っています。時にしみじみと、時にため息まじりに打ち明けています。心の嗚咽が聞こえてくるようです。タイトルは「泣き笑い」ですが、「笑い」はほとんどありません。番組自体が哀感に満ちた一篇の演歌のようです。

■知られざる女ごころ
インタビューの時、美空ひばりは47歳でした。一人の女性として、美空ひばりは、17歳での初恋と別れ、18歳で内々の婚約、そして解消を経験しています。25歳で結婚し、27歳で離婚しました。その後はあまり大きなロマンスは知られていませんでした。
このインタビューでは「歌謡界の女王」となった自身が、男性からどう見られているか、どう見られたいか、どんな人と結婚したいかを率直に語っています。

■「告白」を引き出すジャーナリスト筑紫哲也の手練と人間性
美空ひばりの貴重な告白を引き出したのはジャーナリスト筑紫哲也の腕です。美空ひばりはこのインタビューの7か月前、作家五木寛之と対談しています。五木氏との対談でも美空ひばりは自身の弱さの一端を語っています。しかし、筑紫哲也のインタビューにおけるほどの「告白」は他にはありません。
筑紫哲也は時に「家族をかばう美空ひばりの『異常さ』」について、ずばりと切り込みます。
それも巧みな流れの中で問いかけるため、美空ひばりも驚くべき率直さで答えています。
インタビューは途中休憩無しで99分間一気に行われました。美空ひばりの半生を聞き出し、本音に迫っていく筑紫哲也のインタビューの構成と手練はあまりに見事なものでした。実は奇跡的にこのインタビュー素材がまるまる残っていました。番組ではインタビュー全体の4分の一ほど、23分が使用されています。


(2)「美空ひばりインナーレポート〜人生泣き笑い〜」番組全文と脚注 につづく

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