手作りフリップ(2023年11月5日放送)
AI戦闘機にAI銃…急速な進化で軍事転用も進む人工知能のリスクにどう向き合う?

かつて、映画「ターミネーター」では、進化したAIが人類を滅ぼそうとする未来も描かれました。AIの急速な進化は、悪用されると世界に大きな影響を与えることや、人類がAIをコントロールできなくなることが懸念されています。
その安全性とリスク管理について話し合う「AI安全サミット」が初めてイギリスで開催されました。AIがもたらしうる脅威とは?それを防ぐ手立てはあるのか?手作り解説でお伝えします。
進むAI(人工知能)の軍事利用
AIの軍事的な利用は、すでに現実的な脅威となりつつあります。
例えば中国では、顔認証システムを搭載したドローンが特定の人物を探し出し、自動的に攻撃する研究が行われているとの情報もあります。
イスラエルでは「AI銃」が実用化されています。一度照準をあわせた人物を自動で追尾し、確実に射撃できると言います。
アメリカはAIが操縦する戦闘機をテスト飛行させていて、今後このような航空機を1000機以上開発する計画です。
将来的にはAIの戦闘機同士が戦うことが現実的になっています。
AIが人間より賢くなる可能性
AIの進化は、特にこの10年ほどの間、急激に加速しているのです。
AIの研究は1950年代に始まりましたが当時のAIは、迷路やパズルを解く程度しかできませんでした。
70年代にはAIに専門知識を学習させることで、症状に応じた薬の処方を判断できるAIなども登場しました。
そして2010年代、一気にフェーズを変えたのが「ディープラーニング」というAIの学習方法です。
学習すべき内容を人から与えられなくても、AI自身がネット上の膨大な情報などから、目的に応じて必要な情報を集め、自分で考え、判断できるようになったのです。
これはAIが人間を超えて賢くなる可能性が出てきたことを意味します。
福音か脅威か?AIの光と闇
AIの利用には光の面と闇の面があります。
AIはまだ作られていない新しい薬を開発することにも役に立ちますが、有毒な生物兵器なども短期間で作れることが明らかになっています。
生成AIは、文書作成など人間の作業を大幅に減らすことも可能ですがフェイクニュースを作り出すことも非常に簡単です。
映画制作も、AIでCG技術が革新的に飛躍しますが俳優がいらなくなる可能性も指摘されています。
AIのリスク管理は可能?
今回、イギリスで行われた「AI安全サミット」では、こうした将来的なリスクに注目し、各国政府と企業が協力して、安全性を確認することで合意しました。
しかし、AIの安全性を確認することなどできるのでしょうか?
東京大学大学院の松尾豊教授は「政府のチェックが入れば一定の効果はあるが、「使う人の責任」や「悪用できない技術」など、具体的な議論が今後必要」と話します。
進化していくAIと我々はどのようにつきあって行くべきなのでしょうか?