手作りフリップ(2023年10月29日放送)
中国メーカーが日本のEV市場を席捲か 日本はなぜ出遅れた…電気自動車めぐる“アメとムチ”とは?一発逆転の新技術とは?
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日本で開かれた「モビリティショー」で存在感を示したのは中国の自動車メーカー「BYD」。各国メーカーがしのぎを削るEV=電気自動車の販売台数で、アメリカのテスラに次ぐ2位につけています。一方、日本メーカーでは、ホンダが28位、トヨタが29位と海外勢に大きく水をあけられた形。“自動車大国”日本は、なぜEVでここまで出遅れたのでしょうか。欧米でエンジン車からEVへの転換が進む要因となった、日本にはない“アメとムチ”とは?そして、「一発逆転のホームランになり得る」という日本メーカーの新技術とは?手作り解説でお伝えします。
■進化するEV
今回の「ジャパン・モビリティショー」では、様々なEV(電気自動車)が展示されました。中国BYDは、4つの車輪それぞれに独立したモーターを付けた車を発表。タイヤが1つパンクしても走り続けることができるといいます。EVの課題の一つは、1回の充電で走れる距離を伸ばすことですが、トヨタは、1000キロまで走れる車両を発表しました。
■EVで日本勢は出遅れ
全世界でのEV販売台数ですが、調査会社マークラインズによれば、首位はアメリカのテスラ。次いで、中国のBYD、アメリカのGM、ドイツのフォルクスワーゲンと続きます。
日本勢は、7位のルノー・日産・三菱が最高で、ホンダやトヨタは20位台です。日本のモノづくりの象徴だった自動車ですが、EVでは海外勢に大きく水をあけられた形。なぜ日本は、出遅れたのでしょうか。
■エンジン車とEV
そもそもエンジン車とEVでは、同じ自動車とはいえ、仕組みがまったく違います。エンジン車では、燃料を燃やして、ピストンを高速運動させ、それを回転運動に変えて車輪を回します。一方、EVは、電池で動くモーターの回転運動で車輪を回すので、エンジン車よりもシンプルです。そのため、新興メーカーのテスラや中国メーカーが参入しやすかったのです。ただし、エンジン車を作ってきたメーカーにとっては、技術が全く異なるため、一気に転換するには、生産ラインや部品などを入れ替えなければならず、日本は対応が遅れたのです。とはいえ、脱炭素化の流れにも欠かせないEV。
■なぜ欧米で普及?日本は?
なぜ欧米では、EVの普及が進んだのか。そこにあったのは、「アメ」と「ムチ」です。例えばEUでは、大規模な購入支援やインフラ整備支援でEVを優遇。一方で、エンジン車については、「2035年に新車販売をすべて禁止」とするムチを発表。一部緩和されたものの、規制の方向で議論が進んでいます。日本でも、現在はEVに一定の補助金がありますが、自動車評論家の国沢光宏さんは「日本は、欧米と比べて支援が手薄で、欧米のようなエンジン車の規制もない」と指摘します。出遅れた日本に、巻き返しのチャンスはあるのでしょうか。
■日本勢の巻き返しは?
期待されるのが、EVを支える「電池」の技術です。トヨタは、2023年6月、開発中の次世代電池を発表。寿命が長い上、希少なレアメタルを使わないため、トヨタで現在使っている電池と比べ、製造コストは40%安いといいます。3,4年後の実用化を目指していて国沢さんは「一発逆転のホームランになり得る」と期待しています。