手作りフリップ(2020年12月13日放送)
「J難度?…体操の超人技とは」

体操競技の技は、どんどん難度が上がっていますが、今の最高難度は男子鉄棒で「I難度」、女子ゆかで「J難度」の技が1つずつ認められています。

この「I難度」の技の名前は「ミヤチ」といって、今大会にも出場している宮地秀享選手が2017年の世界選手権で成功して、国際体操連盟から認められました。
その技がこちらです。
勢いをつけて…、棒から手を放し…、身体を伸ばした状態で2回宙返りしながら、ひねりを2回加えて、再び棒をつかむ超大技です。
また女子ゆかの「J難度」の技は「バイルズ2」といって、アメリカのシモーネ・バイルズ選手が去年の世界選手権で成功させました。 後ろへ跳んで、膝を抱えながら、2回宙返りする間に3回ひねる技で、男子ではG難度に相当します。

そもそも、採点に難度が組み込まれたのは1964年の東京オリンピックからです。 当初はAからCの3種類しかありませんでした。 ところが、鉄棒の「月面宙返り」や、平行棒の「モリスエ」などC難度を超える技が次々と登場。D、E、Fと難度の種類が増えていきます。
しかし、当時の採点方式は10点満点制で、技の進化と共に得点差をつけることが難しくなり、2006年、「技の難しさ」と「演技の完成度」の2つで評価する方式に変更。 得点に上限がなくなり、さらに難度が高い技が増えていきました。

一方、技が複雑になればなるほど、難しくなるのが審判の判断です。 こちらは白井健三選手のH難度、シライ3の連続写真ですが、この複雑な動きを、わずか一瞬の間に、何回宙返りして、何回ひねって、正しい姿勢かどうかを、審判は目で判断しなければなりません。

こうした中、開発されたのがAIによる採点システムで、先月、跳馬だけですが、日本で行われた国際大会の公式戦で初めて使われました。
採点方法が変わる背景には技の進化があったんですね。
今後、体操の技はどこまで進化するのでしょうか。