手作りフリップ(2020年11月22日放送)
「完成間近?新型コロナワクチンは」
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新型コロナワクチンについて、アメリカのアザー厚生長官は18日、数週間以内に供給できるという見通しを明らかにしました。
ワクチン開発には通常5年以上かかると言われていますが、1年に満たない異例のスピード開発です。 これを推し進めてきたのが、アメリカによる「ワープ・スピード作戦」です。
そもそもワクチン開発には、候補となる物質の選定、動物実験などの臨床前の試験、人間への臨床試験を3段階で行い、有効性や安全性を検証します。 その結果を審査し、政府に承認されて、製造されます。どの過程も時間がかかります。 このハードルをどうやって越えるのでしょうか。

世界では100を超える新型コロナワクチン開発が進められていて、DNAワクチンやメッセンジャーRNAワクチンなど様々なタイプがあります。 どれが成功するかわかりませんので、複数のタイプからめぼしいワクチン候補を7つ選択し、それぞれの開発事業体に先行投資や追加投資を行いました。
ちなみに、ファイザーは「科学者たちを政治的圧力から守るため」として、政府からの補助金を受け取っていないといいます。
試験は厳格な基準やガイドラインに沿って行われ、最終治験に進んだワクチン候補については、その結果を待たずに、並行して製造を進めます。 治験が失敗すれば、製造されたワクチンは使えず無駄になりますが、成功すると素早く供給できます。

ファイザーとモデルナのワクチンが承認されると、24時間以内に供給する準備が出来ているとアメリカのアザー厚生長官はいいます。
また、承認されたワクチンの生産は、承認に至らなかった開発事業体にも振り分けられて、量産することにもなっています。
この「ワープ・スピード作戦」に投じられたアメリカ政府の予算は、およそ1兆700億円、ブルームバーグによると、およそ1兆8700億円まで膨れあがっているといいます。
人類史上最速のワクチン開発ですが、その一方で、治験期間も短いため「効果がいつまで持続するのかわからない」、また、「安全性は証明できる段階にない」などと、過度な期待に警鐘を鳴らす声もあります。

このようにワクチン開発が佳境を迎える中、欧米や日本など先進国が先行確保しているワクチンの量は22億回分。 しかし、国際NGOオックスファムは「世界人口の13%の先進国がワクチンの51%独占している」と批判し、発展途上国などへの供給が後回しにされる懸念が広がっています。
アメリカのデューク大学は、先月、「このままでは、世界全体に十分な量のワクチンは2024年まで行きわたらない」と指摘しています。
