手作りフリップ(2020年11月15日放送)
「新型コロナワクチン、90%有効とは?」
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ワクチン開発には通常5年以上かかるといわれていますが、今回はなぜ短期間で、ファイザーのいう“90%以上の有効性”を示すことができたのでしょうか?
一般的にワクチンは、毒性を弱めたり、無毒化したりしたウイルスなどを接種して抗体を作るというものです。

一方、ファイザーとビオンテックが開発するワクチンは、「メッセンジャーRNA」と呼ばれる新しい技術によるものです。
新型コロナウイルスの「とげ」の部分に関連した遺伝情報を使ったワクチンを接種すると、身体が反応して、抗体を作るというものです。
ウイルスそのものを使う一般的なワクチンと比べて、遺伝子の一部分だけを入れるので身体の中で活性化することがないことから安全性も高く、大量生産にも適しているといわれています。

では“90%以上の有効性”とはどういうことなのか?
臨床試験の流れを追いながら説明します。
まずおよそ4万3500人の被験者を2つのグループに分け、1つのグループには「メッセンジャーRNA」ワクチンを投与し、もう1つのグループには無害な液体を投与します。
この液体はプラセボ=偽薬と呼ばれ、被験者にはどちらを投与したかは秘密にされています。
およそ4万3500人の被験者のうち94人の感染が確認されましたが、感染者が「メッセンジャーRNA」ワクチン、偽薬のどちらを投与されていたのかを調べ、その結果、ファイザーは90%以上という数値をはじき出したのです。
90%はまだ暫定値ですが、インフルエンザの60%と比較しても相当高い数値といえます。 一方、不明な点もあります。まず持続性です。インフルエンザワクチンは最大で5か月ですが、今回のワクチンの効果が、どれだけ持続するのか分かっていません。
そして副反応。インフルエンザではおよそ100万人に1人、重い副反応が出るといわれています。
「メッセンジャーRNA」ワクチンでは、今のところ重い副反応は出ていないといいますが、実際に今回、ワクチンが投与されたのは2万数千人に過ぎず、副反応を判断するには症例数が少ないという指摘もあります。

では世界のワクチン開発の現状を見てみましょう。
まずファイザーは今月中にFDA=アメリカ食品医薬品局に申請し、年内の承認・供給を目指すとしています。
ロシアは数週間以内に国民への接種が可能としています。
欧米の複数の製薬会社も、年末から来年前半には、ワクチンの承認を目指すとしています。
日本政府はファイザーを含む3社から、合わせて1億4500万人分のワクチン供給を約束していて、来年前半までに国民全員分のワクチンを確保する方針です。

とはいえ、どのワクチンもまだ完成していないということを忘れてはいけません。 ファイザーは最終報告ではなく中間報告なので、数値が変わる可能性や、年内に予定されている供給時期が変更される可能性も考えられます。 まずは今起きている感染拡大を食い止めなければなりません。
