手作りフリップ(2020年11月1日放送)
「ANAもJALも…コロナで大変」
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中間決算であらわになった新型コロナの影響による旅客業へのダメージ。 航空業界では、国際線の利用者が9割減少したことなどを受け、ANAホールディングスが1年間の業績が、5100億円の赤字になるとの見通しを発表。 ライバル企業の日本航空(JAL)も、2700億円の大幅赤字に転落。 各社の赤字は、JALの経営破綻のきっかけにもなった「リーマンショック」以降、過去最悪です。

鉄道への影響も深刻です。
JR東日本は、1年間で4180億円の赤字、JR東海も、1920億円の赤字となる見通しです。
始発・終電のダイヤの見直しなど、すでにコスト削減に乗り出していますが、テレワークの普及によって、安定した収入源となっていた通勤・出張の需要が減少しているため、GoToトラベルで新幹線の利用などが戻っても、業績は以前の8割ほどしか回復せず、今後も厳しい状況が予想されています。

こうした状況に対応するため、ANAは、保有する飛行機を減らすなど、2022年春までに、4000億円のコストを削減するとしていますが、この他に、波紋を広げている対応があります。 それが全社員を対象とした「外部企業への出向」です。
来年春までに、400人以上の社員を、コールセンターや、ホテルの受付、家電量販店、スーパーマーケットなどに出向させるというのです。 今回の措置について、片野坂社長は、「およそ4万6千人いるグループ社員の雇用を守るため」だとしていますが、異業種への出向によって人件費を削減するという異例とも言える措置です。

世界に目を向けてみると、IATA=国際航空運送協会によれば、今年の世界の航空需要は前年比で7割近く減少。 アメリカ航空大手3社の赤字の合計は、およそ1兆円に上っています。 この内、アメリカン航空とユナイテッド航空では、3万人以上を一時的に休ませることで、人件費を削減するとしています。

また、すでに、オーストラリア、コロンビア、タイの航空会社に至っては、経営破綻に追い込まれるなど、日本以上に厳しい状況に立たされているのです。
IATAのジュニアック事務総長は、「航空需要がコロナ前のレベルに回復するのは、2024年になるだろう」としていて、これまで通りに「旅行」ができるのは、まだ先になりそうです。
