手作りフリップ(2020年9月13日放送)
「新型コロナ…いまワクチン開発は?」
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新型コロナウイルスのワクチンですが、各国がその開発にしのぎを削っていて、特に米・中・露の、前のめりの姿勢が際立っています。アメリカのトランプ大統領は8日「記録的な早さでワクチンを開発し、年末…もしかするとそれよりも早く手にするだろう」とアピールに余念がなく…
中国では、ワクチン開発に関わる軍の研究者に勲章を授与し、まだ開発されていないワクチンの事前予約を始めました。ロシアでは世界に先がけ承認したワクチンに対し、実際に接種を行う第3段階の臨床試験に入りました。承認後に臨床試験を行うという異例の措置です。

世界全体の「ワクチン」の開発状況を見てみましょう。
臨床試験に入ると、どんどん人を増やして、ワクチンの有効性や安全性を確かめる必要がありますが、第3段階に入っているのはご覧の通り。中国やロシア、イギリス、アメリカなどといった製薬会社のワクチン開発が進んでいます。
この内日本への供給は、アストラゼネカやファイザーで合意。モデルナとは供給を協議中です。

そんな中、最も開発が先行しているといわれるアストラゼネカで、一人に深刻な副作用が出たため、臨床試験が、全世界で一時、中断される事態が起きました。昨日、再開されましたが、その判断した医学的な根拠は明らかにされていません。
あらためてワクチン開発の難しさがうかがえますが、そのワクチンと関係する体の免疫システムを見てみます。この免疫ですが、私たちの体には「自然免疫」と「獲得免疫」。二段構えで病原体に対抗するバリアーがあります。まず「自然免疫」ですが、皮膚や粘膜などを超えて体に入ってきた、細菌などの病原体を、生まれた時から持っている、白血球の一種である食細胞が消化し排除します。

自然免疫が強ければそれだけで新型コロナを撃退できる人もいるわけです。 しかし自然免疫でも排除できなかった場合、次は「獲得免疫」の出番です。獲得免疫の司令塔ともいえるヘルパーTリンパ球が、Bリンパ球に指令を出し、抗体を作ってウイルスを攻撃します。
抗体を作りやすくするために、ワクチンを接種するわけです。更にヘルパーTリンパ球が、キラーTリンパ球にも指令を出し、感染した細胞をウイルスごと攻撃します。ただワクチンの効果については、どれだけ続くのか様々です。

破傷風やポリオなど、ワクチンを一度打てば免疫が数十年続くものもあれば、インフルエンザのように<3か月程度>しか続かないものもあります。
VTRでも紹介した中山教授は、「新型コロナでも、ワクチンを接種してできた免疫の力が、下がってくる可能性が十分にある」と指摘しており、ワクチンが開発されても、新型コロナウイルスと共生していくことになるのかもしれません。
