手作りフリップ(2020年3月1日放送)
「新型肺炎“患者が再び陽性に”?」

新型コロナウイルスをめぐり、話題となったのは「再燃」と呼ばれる現象。
大阪府のツアーガイドの女性は、熱などの症状が出たため、1月23日に入院し検査を受けたところ29日になって、感染が確認されました。
治療の末、陰性となったため先月1日に退院しましたが、19日になって、再び、のどの違和感や、胸の痛みなどを感じ、再度、病院で検査を受けた結果、また陽性反応が出たのです。
回復したはずの患者が、再び発症する“再燃”。
実は、中国・広東省では、退院した患者の14%が再燃したという報告もあり、警戒されています。

なぜ、このような現象が起きるのか。
呼吸器の専門医、寺嶋教授は、新型コロナウイルスが持つ、「生存力の高さがある」と指摘します。
一般的なウイルス性の病気の場合、発症後、10日ほどで体内に抗体ができ、病気をもたらしたウイルスは撃退されます。 しかし、新型コロナでは、「ウイルスの数が下っても、ゼロにならないことがあり、微量でも生存することで、再び増殖し、発症するケースがある」といいます。
寺嶋教授は「これまでにないタイプのウイルスかもしれない」と警鐘を鳴らしています。

このように、まだまだ分からないことの多い新型コロナウイルスですが、少しずつ、分かってきたこともあります。
多くの場合、37.5度くらいの微熱と、体のだるさが現れる新型コロナですが、体の外だと、生存しているのは、数時間から半日ほど。これまでのウイルスと特性は変わりません。
一方、通常のインフルエンザでは、ウイルスが増殖するのは、鼻や喉などの「上気道」ですが、新型コロナでは、喉の奥にある、気管や気管支などの「下気道」で増えやすく、ここまでウイルスが入ると、肺の奥などで広がりやすく、重症化するケースがあるのです。
実は、検査は主にこの上気道で行われるため「下気道に残ったウイルスがとらえきれず、それが、再燃と見えてしまう」という指摘もあります。

さて、政府の専門家会議が「この1,2週間が瀬戸際」と述べた、新型コロナウイルスですが、気なるデータがあります。
それは、およそ100年前、世界で5000万人が命を落とした「スペインかぜ」の大流行の時、アメリカの2つの都市が取った、対応の違いです。 フィラデルフィアでは、第一次大戦の戦勝パレードを行うなどしたため、初動対応が遅れ、少なくとも1万5000人の死者が出ました。

一方、セントルイスでは、市長がいち早く、人が集まる集会やイベントを禁止にしたり、学校を休校にしたことで、フィラデルフィアと比べ、死亡率を半分以下に抑える事ができました。日本でも、いっそうの速い対応が求められています。
