手作りフリップ(2020年1月12日放送)
「ゴーン被告の逃亡先・レバノンとは?」

ゴーン被告が逃げ込んだレバノンとはどういった国なんでしょうか。
場所は地中海東岸に位置し、面積は岐阜県程度、人口はおよそ610万人、自由経済で言論環境も比較的、自由な国です。
首都のベイルートは、かつて「中東のパリ」と言われるほど経済・文化活動が営まれてきました。

フランスが委任統治していたこともあり、今もフランスと緊密な関係が続いています。 イスラム圏の国ですが、今はイスラム教スンニ派、シーア派が共に27%、キリスト教マロン派21%と、キリスト教の影響も強く残っていて、さらに、狭い国土の中に多くの宗教・宗派が混在。 公式に認められたものだけでも18の宗派があり、「モザイク国家」として知られています。
そのため、レバノンでは政治や社会のバランスを保とうと、各宗教・宗派に政治権力を配分ししました。
例えば、大統領はキリスト教マロン派、首相はイスラム教スンニ派、国会議長はシーア派と決まっています。

しかし、そうした結果、地元の有力者の権力が強くなり、コネやカネがものを言い、汚職がはびこる政治・社会となってしまいました。
ちなみにゴーン被告はキリスト教マロン派で、アウン大統領と関係が近く、とくにその娘婿、バシル外相と非常に近いと言われています。
また、1975年には宗教対立から15年間に及ぶ内戦が発生。 外からはイスラエルの侵攻、パレスチナやシリアの難民問題も発生。
その結果、政情は不安定な状況が続き、経済も低迷。 富裕層の上位1%が全国民の総所得の4分の1を占めるほど貧富の格差が拡大しました。

去年10月から、反汚職や反腐敗を訴える反政府デモが続いています。
こうした中、レバノンでは19世紀から移民が本格化し、さらに内戦で故郷を離れる人も多くいました。
その中には成功を収める人もいて、そういった人々からの送金がレバノン経済を下支えしていると言われています。 ゴーン被告も、キリスト教マロン派に金銭的な貢献をしていたとの指摘もあります。

レバノン政府に抗議する人からは、このような批判が出ています。
「ゴーン氏は、居心地がいいレバノンの司法制度にやってきた。ここでは巨額の公的資
金が毎年横領されても、政治家が汚職で刑務所に入れられることは絶対にないほど、都合が良い」
ゴーン被告にとっては、厳しい日本より、レバノンのほうが、自らを守れると思ったのでしょうか。
