手作りフリップ(11月17日放送)
「Yahoo!とLINEが経営統合」

ヤフーの利用者はおよそ5000万人、LINEの利用者はおよそ8000万人といわれ、両社が統合すると、1億人規模の巨大IT企業が誕生します。 この統合は、どういう意味を持つのでしょうか。

まず、ヤフーを展開するのは、「Zホールディングス」というIT企業で、孫正義会長が率いるソフトバンクグループの傘下のひとつです。 ネットを利用するときの窓口となるサイト「ヤフー」は日本最大級で、通販、金融、ニュースや動画の配信などと、幅広い、ネットサービスを行っています。
最近はスマホ決済の「PayPay」にも力を入れていますが、通販では、アマゾンや楽天のシェアには及んでいません。 また、スマホへの対応の出遅れも指摘されています。

一方、LINEは、韓国のIT大手「ネイバー」の子会社で、スマホ向けの無料通信アプリは、若い世代から中高年へと利用が広がり、日本国内で圧倒的なシェアを獲得しています。 スマホを触り、1日に何度もLINEを使うネット利用者も多いのです。
この顧客との接点に目をつけたのが、ソフトバンクグループで、 これを取り込むことで、従来のサービスの利用拡大につなげる狙いがあると見られます。

今回のヤフーとLINEの経営統合話の背景にあるのが、 膨大な個人情報=ビッグデータをめぐるIT業界での熾烈な競争です。
例えば、アメリカのグーグルやアップル、フェイスブック、アマゾン、GAFAと呼ばれる巨大IT企業は、世界中の人々に便利なサービスを提供する換わりに、検索内容や購買履歴などから膨大な個人情報を集め、それを活かして、新たな製品やサービスを次々に生み出してきました。
こうしたネットサービスの基盤を提供する企業をプラットフォーマーといい、GAFAに加えて、中国のバイドゥやアリババ、テンセントが、非常に強く、先行しています。ソフトバンクグループを率いる孫さんは、去年、こう発言していました。
ソフトバンクグループ・孫正義会長(2018年11月)
「我々はまったく新しい、GAFAの外に新たな勢力を築こうと」
今回の統合話は、海外のプラットフォーマーに対抗する狙いも見えます。

また、ソフトバンクグループは、投資ファンド事業の不振で、今年9月期、赤字に転じていて、収益拡大のため、柱であるヤフーなどのネット事業に期待したいというのも、統合を後押しした可能性も考えられます。
関係者によると、両者は今月中の基本合意を目指しているといい、もし実現した場合、1つのアプリで、検索サービスから、通信、ネット通販、金融など、様々なサービスを完結できるようになるかも知れません。 果たして、GAFAや中国勢に食い込むことができるのでしょうか。
