手作りフリップ(11月3日放送)
「総選挙へ…英のEU離脱」
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今回、再び選挙で問われることになったイギリスのEU離脱。
イギリスが離脱したい理由として、今もあげられるのが、移民問題です。
イギリスは、EU諸国からの移民がおよそ10年間で2倍以上に増加。 国民の雇用が奪われ、給与水準が下がり、不満が出ているんです。 そこで、イギリスは、EUが掲げる「ヒトの移動の自由」というルールから抜け出そうとしました。
しかし、EUは、ヒト以外にも、モノ、カネ、サービスの移動の自由を掲げている共同体です。 一つの要素だけ抜けるという「良いとこ取り」は許しませんでした。

EUが反発するもう一つの理由が、北アイルランドとアイルランドの国境問題です。 アイルランドは独立した国で、北アイルランドは、イギリス領なのですが、これまで、北アイルランドでは、イギリスからの独立を求めるカトリック系住民と、それに反対するプロテスタント系住民の間で、激しい紛争が起きていました。 そこに、EUが仲介として入り、物理的な国境を置かないことを条件に、和平が結ばれたのです。
最初の離脱交渉の際、EUは紛争の再燃を危惧して、北アイルランドをEUに残すことを提案しましたが、当時のメイ首相は反発。 代わりに、イギリスがEUを離脱した後も、EUの関税同盟に残ることで、アイルランドと北アイルランドに物理的な国境を置かないで済む案を提示しました。

しかし、この案は、EUのルールに縛られたままだとして、イギリス議会で否決されてしまいます。 反対派には、当時、与党・保守党に所属し、外務大臣を務めていた、ジョンソン首相も。 ジョンソン首相は、メイ前首相の案を「単なる“半離脱”にしかならない」と批判しました。
そして、今年7月に就任したジョンソン首相は、イギリスが、EUとの関税同盟から抜けることで、各国と独自に取りきめた関税に沿って貿易をすることができるよう、離脱案を修正しました。 ただし、北アイルランドについては、EUの関税ルールに従う、としました。

しかし、この案では、イギリス本土と北アイルランドで、2つの関税ルールが存在することになってしまいます。 これに対し、北アイルランドをイギリスの他地域と別扱いしていると北アイルランドの地域政党・民主統一党が強く懸念し、反対しています。
どれだけ議論を重ねても、最後に行きつくのは、北アイルランドとアイルランドの国境問題です。 この問題を解決しなければ、誰もが納得する離脱は、難しいのかもしれません。
