手作りフリップ(10月13日放送)
「吉野彰さんがノーベル化学賞」

そもそも、「リチウムイオン電池」とは、どういった電池なのでしょうか。
まず、この電池は、乾電池などの使い捨ての電池とは異なり、何度も充電して使える蓄電池のことで、なおかつ小型で軽量、そして高性能といった特性をもった電池です。 これはビデオカメラのバッテリーで、「リチウムイオン電池」です。小さいですね。 ほかにもスマートフォンやノートパソコンなどにも使われ、私たちの生活において欠かせないものとなっています。

ちなみに、この電池の名前にもある「リチウム」というのは、最も軽い金属元素で、そして「レアメタル」と呼ばれる希少金属の一つ。主な生産国はアルゼンチンやチリなどです。
「リチウムイオン電池」は、この3人の力が合わさって開発されました。

開発の始まりは、さかのぼること、およそ50年。
1970年代に起きたオイルショックがきっかけとなり、石油に代わるエネルギーの研究が活発化し、ニューヨーク州立大学のウィッティンガム特別教授がリチウムを使った電池を試作。
この時に、リチウムが電池の材料になるという可能性を見いだしました。
しかし、すぐに実用化、というわけにはいきませんでした。
というのも、「リチウム」は金属のまま使うと発火や爆発の危険がありました。
その後、同じくその研究をしていたテキサス大学のグッドイナフ教授がプラス極にコバルト酸リチウムを使うと、大きな電圧を得られることがわかりました。 このとき、電池としての能力は高まりましたが、危険性については解決していませんでした。

そして、1985年。旭化成・名誉フェローの吉野氏がグッドイナフ氏の研究成果を知り、これをベースにマイナス極に特殊な炭素材料を組み合わせたところ、安全性が高まり「リチウムイオン電池」の基本構成を確立することができました。
その後、1991年に世界で初めて実用化され、その後のいわゆる“IT革命時代”で、「リチウムイオン電池」は必要不可欠な存在となっていきました。
こうして開発された「リチウムイオン電池」。
今回、受賞した理由には、開発のほかに、「環境問題の解決に役立つ」という理由もありました。
どんなことに役立つのかというと、ひとつは、環境に対して負荷の少ない「再生可能エネルギー」で作った電気を貯める「蓄電池」として使うことができるのです。

そして、いま期待が高まっているのが、二酸化炭素を出さないクルマ、「電気自動車」です。
これにも「リチウムイオン電池」は欠かせません。
これまでの社会システムをも変えうるとも言われている「電気自動車」。吉野さんいわく、「時代はIT革命から“ET革命”(Energy &Environment Technology)に入った」そうです。
Eはエネルギーや環境、Tは技術のテクノロジーを意味しています。
この“ET革命”の先陣を切っているのが「リチウムイオン電池」を使った「電気自動車」。
今後、どんな革命を起こしてくれるのでしょうか。
