手作りフリップ(8月25日放送)
「冷戦再び?INF条約が失効」
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今回、問題になった中距離ミサイルとは、この射程500~5500キロまでのミサイルのことです。 500キロ以下のものが短距離ミサイルで、5500キロ以上の長距離は大陸間弾道ミサイルなどと呼ばれていています。

この5500キロというのはアメリカ北東部から北極海を越えてロシアまでの距離です。 INF全廃条約はこの中距離の地上発射型ミサイルについて、実験、製造、保有を禁止することで米ロが合意し、今月2日まで30年以上にわたって効力を持っていました。

この条約が結ばれたのは1987年、当時の世界はアメリカと旧ソ連が、合わせて6万8000発の核兵器を保有し、にらみ合っていた時代でした。
冷戦の時代、旧ソ連は中距離ミサイルをヨーロッパとアジアに向けて配備。 アメリカもヨーロッパに中距離ミサイルを配備し、けん制し合っていたのです。
INF全廃条約は80年代の核軍縮交渉のなかで、これらの、発射から到達までの時間が短い、中距離ミサイルを禁止することで、アメリカのレーガン大統領とソ連のゴルバチョフ書記長が合意。 核兵器削減を決めた、初めての条約となったのです。

条約が結ばれた2年後には冷戦が終結。
INF全廃条約は冷戦が終わる、その先駆けとも位置付けられていたのです。
それがなぜ、今になって破棄されることになったのか。
トランプ大統領は条約の破棄を表明した際、「ロシアは何年も条約を破り続けている」と指摘。新型ミサイルを開発したロシアを非難しました。
ただロシアは指摘された「ミサイルの射程は480キロ」だとし、条約で禁止されている500キロには届いていないと反論していますが、ミサイル開発への意欲は、隠そうとしていません。

一方、条約に参加していない中国は2015年、射程4000キロとされ、グアムキラーとも呼ばれる最新型の中距離弾道ミサイルを公開するなど、条約に縛られず、様々なミサイル開発に乗り出していて、トランプ大統領は「アメリカだけが条約を守るわけにはいかない」などと述べています。
トランプ大統領は、「すべての核保有国が参加した新たな条約ができればより良い」などと述べていますがアメリカ自身が小型核の開発に乗り出すことを表明するなど、軍拡への流れが、世界を新たな緊張に巻き込みつつあります。
