手作りフリップ(7月28日放送)
「日韓・対立の舞台…WTOとは」
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今回、日韓の対立の場となった、WTO=世界貿易機関とは、スイスのジュネーブに本部を置く国際機関で、現在、164の国と地域が加盟しています。
もともと、1930年代、各国が保護主義的貿易政策を行ったことが第2次世界大戦の一因となったという反省から前身となるガット(GATT)が創設され、これを強化する形で、1995年、WTOが設立されました。
目的は『自由貿易の促進』で、原則、関税以外の方法で貿易を制限することを禁じています。

では、具体的にどのようなことをしているのかというと…
加盟国間で共通の貿易ルールを決めているほか、国同士の貿易紛争を解決する、“裁判所”のような役割も果たしています。
日本も貿易紛争の解決の場として活用してきました。
日本は、これまでに26件で提訴。審理が終わった21件のうち19件で、いわば“勝訴”しています。

例えば、2012年、日本がアメリカやEUと共同で中国を提訴した案件は『レアアースの輸出制限』に関するものでしたが、審理の結果、主張が認められ、中国は、この輸出制限を撤廃しています。 このように資源の少ない日本や小国などにとってWTOは必要不可欠な存在なのです。
一方で、最近は、この紛争処理について疑問の声も上がっています。
安倍総理は今年4月「紛争解決が機能するよう改革することが不可欠」と発言。
背景には、韓国が行った福島県などの水産物の輸入禁止措置をWTOが容認した件があるとみられています。
この判断には日本以外のアメリカやEUなど各国からも問題視する声が上がりました。

また、トランプ政権はWTOがアメリカを不当に扱っているとしてたびたび脱退を示唆しているなど、今、WTOが機能不全に陥る可能性もあるのです。
WTOで、今回、日韓が対立しているポイントですが、韓国は、日本の措置が『政治的な目的で行われた経済報復』で『WTOのルールに反する』と主張。日本は『安全保障上の懸念に基づく見直し』で『ルール違反にあたらない』と反論しています。
今後、韓国がWTOに提訴した場合、まずは2国間で協議し、結論が出なかった場合、1審にあたる小委員会、2審にあたる上級委員会と審理を重ねることになります。
日本が有利との声もありますが、日本の主張が認められるのか、最後まで結論は、わかりません。
