手作りフリップ(5月12日放送)
「米・イランが危険水域?」
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改めて、イラン情勢を詳しく説明します。
2002年、イランの核開発計画が発覚し、欧米はイランに対し制裁を科してきました。 その後、イランが核開発を大幅に制限する見返りに関係国がイランに対する制裁を解除するとの内容で2015年、アメリカのオバマ前大統領のもと、結ばれたのがイラン核合意です。

しかし、去年、トランプ大統領が、これではイランの『核兵器開発を阻止できない』などとして、一方的に離脱を表明し、原油や自動車、金融部門などへの制裁を再開したのです。
イラン経済は疲弊していて、若者の失業率は、去年、およそ30%に。 物価は高騰して、インフレ率は今年、40%に迫る見込みです。
こうした状況もあり、イランのロウハニ大統領は今回、核合意の一部履行停止を表明。 しかし、アメリカは、すぐに金属の輸出を禁止する新たな制裁を発表したのです。

対立が続くアメリカとイランですが、関係の悪化は、40年前までさかのぼります。
1979年、イランでは、格差の拡大などから親米派の王政が倒される「イラン革命」が起こりました。このイラン革命の自国への波及を恐れたイラクのフセイン大統領は、1980年、イランを空爆。 イラン・イラク戦争が始まりました。この時、アメリカはイラクを支援しています。
しかし、2001年のアメリカ同時多発テロをきっかけに、ブッシュ大統領がイラク戦争を開始。フセイン政権が崩壊しました。
その結果、現在、イランとイラクの関係が、奇しくも、好転。
イラクではイランに近い政党が勢力を増しているのです。

そのイラクでは、過激派組織「イスラム国」の掃討を支援してきた、アメリカ軍およそ5000人が駐留。 また、イランもイラク軍支援のため精鋭部隊である「イラン革命防衛隊」を派遣。 「イスラム国」掃討の際、両国は結果的に共闘していました。
しかし、現在、アメリカは「イラン革命防衛隊」について『アメリカやイスラエルなどに脅威を与えるテロ活動を行っている』と敵対視していて、トランプ政権は、先月、この精鋭部隊を“テロ組織”に指定したと発表。

このテロ組織指定や核合意からの離脱の、一連の政策は、『イランの現体制を崩壊に追い込むのが真の狙いかもしれない』とも報じられています。
アメリカは今回、空母などを派遣。紅海からペルシャ湾に向かっていると伝えられていますが、両国の勢力が同居するイラクでの偶発的な衝突も含め、今、軍事的緊張が高まっています。
