手作りフリップ(3月17日放送)
「どうなる?英国のEU離脱」
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離脱延期の方針を決めたイギリス議会ですが、そもそも、残留派、離脱派、どのような意見で分かれているのでしょうか。
残留派は、ヒト、モノ、カネ、サービスの移動の自由を掲げるEUの経済的、政治的恩恵を受け続けたいという考えがあります。離脱による関税復活などは受け入れられません。

一方、離脱派の大きな理由の1つが移民問題です。
2000年代になり、旧東欧諸国から多くの労働者がやってきます。
2017年は、およそ64万人が流入しました。
その結果、イギリス国民の雇用が奪われる、給与水準が下がる、社会保障費を圧迫しているなどとして、不満が強まっていきました。

そしてもう一つの大きな理由が「意思決定権を取り戻す」です。
EUに加盟していると、EUのルールを守らないといけません。
しかし、そのルールは欧州委員会が決めています。
自分たちのルールは自分たちで決めたい、という不満がありました。
また、こちらはEUへの拠出金と受取金を差し引きしたグラフですが、経済の強い国は拠出金が多くてマイナス、経済の弱い国は受取金のほうが多くなっています。
強い国が弱い国を支援する形になっていて、これも不満の種でした。
こういった不満があり、3年前の国民投票で離脱派が勝利したのです。

選挙後、イギリスは、EUには縛られたくないけれど、貿易はこれまで通りやっていきたいという意向でしたが、EUは「いいとこ取りは許さない」「出るなら早く出ろ」と強気の姿勢を崩しませんでした。
結局、イギリスは完全離脱を選び、今月29日を離脱期限とし、その後、2020年末までを移行期間と決めました。

EUが強硬姿勢をとった背景には、反EUの動きの活発化がありました。
譲歩するとEUの結束が乱れる、離脱ドミノの恐れがあるんです。
去年11月、イギリス政府とEUは離脱の条件を定めた協定案に合意しました。
しかし、イギリス議会では、残留派が「協定によって離脱が正式になる」として反対。 離脱派も、「協定案には、アイルランドの国境管理問題を巡って、 EUの関税ルールに縛られ続ける可能性がある」として反対。 残留派、離脱派の両方から反対されました。
今回、イギリス議会は離脱延期を決めました。
しかし、EUから同意も得られていませんし、根本的解決にもなっていません。
イギリスのEU離脱はどこに向かうのでしょうか。
