手作りフリップ(2月24日放送)
「EU離脱で…企業の英国離れが」

2021年中の閉鎖が決まったイギリス・スウィンドンのホンダ生産工場。
ホンダはイギリスのEU離脱が原因ではないとしていますが、3500人の従業員すべてを解雇する見通しです。イギリスの新聞「ガーディアン」紙は、部品を製造している会社などを含めると、その2倍から3倍の人数が職を失うだろうと伝えています。

日産は、SUV=多目的スポーツ車の新モデルの生産計画を撤回。
一方イギリス・バーナストンのトヨタの工場長が『合意なき離脱となった場合、期間は予測できないが生産は一時停止することになるだろう』と語ったと、ガーディアン紙は伝えました。
というのも、トヨタは「ジャストインタイム」…「必要なものを、必要な量だけ、必要なときに」という生産方式をとっていて、部品のストックをほとんど置いていません。 そのため毎日トラック150台分の部品が工場に運び込まれてくるのですが、うち50台分がEUからです。“合意なき離脱”によって関税手続きに手間取り、部品調達に遅れが生じれば、生産に影響しかねないというのです。

またイギリス最大の自動車メーカー、ジャガーランドローバーは去年の1500人に続き、今年4500人の人員を削減すると発表。ガーディアン紙によると、リストラの大半がイギリスで実施される見通しです。
自動車以外でも、パナソニックは去年、欧州本社をロンドン郊外からオランダ・アムステルダムに移転、ソニーも来月末、同じく欧州本社をアムステルダムに移転する予定です。
影響は製造業だけではありません。ウォール街と並ぶ、世界有数の金融街であるロンドンの“シティ”にも、影を落としています。

日本のメガバンクや大手証券会社のほとんどは、ヨーロッパの活動拠点を“シティ”に置いていますが、イギリスのEU離脱による影響を最小限にするために、EU内にも拠点を置くようになりました。
これを絶好の機会と捉え、ヨーロッパの大都市が、“第二のシティ”を目指しているといいます。 ドイツのフランクフルト、オランダのアムステルダム、フランスのパリ、そしてアイルランドのダブリンなどがそうです。

世界の金融センターとして君臨してきたロンドンの“シティ”が、その座を奪われる、あるいは「金融ハブ」がヨーロッパの国々に分散してしまうことは、イギリス経済にとって大打撃です。
また、イングランド銀行は、「合意なき離脱」となった場合、ポンドの価値が25%下落する恐れがある、との試算を出しています。
およそ1か月後(3月29日)に迫った、イギリスのEU離脱。
果たしてイギリスは「合意ある離脱」「合意なき離脱」「離脱日の延期」「2度目の国民投票」…どれを選択するのでしょうか?
