手作りフリップ(2月3日放送)
「五輪を前に…どうなる横田空域」

首都圏の上空には横田空域が設定されています。
東京西部の米軍横田基地の周辺空域のことで、高度は最大で7000m、南は静岡県の伊豆半島、北は新潟県まで1都8県に広がっています。
戦後、GHQが日本の管制権を掌握したことが始まりで、日米地位協定などを根拠に今もこの空域は米軍の管理下にあります。
そのため、航空機はこの空域を迂回するか飛び越えて飛行しなければならず、飛行時間や燃料もロスしていて、まさに見えない“壁”が存在しているのです。

政府は東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に訪日外国人を年間4000万人にすることを目標に掲げていて、羽田空港国際線の発着数を増やす必要がありました。
そこで都心上空を通過する新たなルートを、午後3時から7時までの間で南風の吹いているときに、運用することが検討されましたが、さいたま市や練馬区付近の上空で、この部分、わずかですが横田空域を通過しなければなりませんでした。

今回の日米両政府の合意で、この横田空域の一部を通過することができるようになり、管制も日本側が行えるようになります。
こうした新ルートの運用で、昼間の発着回数を現在の年間6万回から9万9000回に増やせる見込みで、オリンピック後の航空需要の増加への対応も見据えています。

では実際に都心部の上空を通過すると、どのように見えるか。
国交省が作ったイメージVTRをご覧ください。
渋谷駅付近では上空600mとスカイツリーより低い高さ、品川区の大井町駅で300mと東京タワーより低い高さを飛ぶことになります。騒音などの問題から住民の反対意見も根強くあり、丁寧な説明が求められます。

横田空域はこれまで少しずつ返還されてきましたが、全面返還される見通しは立っていません。その背景には米軍の戦略があるとされています。
元防衛事務次官の守屋武昌氏によれば、ハワイから朝鮮半島や中国、ロシア方面に軍用機を出動させるときに東京を経由すると最短距離になるといい、アメリカ側はこの空域を手放せないといいます。
戦後73年すぎても続く、米軍による“空の占領”。日本が取り戻せる日はくるのでしょうか。
