手作りフリップ(11月11日放送)
「米国がイランに“最強制裁”」

そもそも、イランとアメリカは、なぜ険悪なのでしょうか?
歴史を振り返ると、1979年、親米派の王政が倒される「イラン革命」が起こりました。 また、イラン・イラク戦争(1980~88年)では、アメリカはイラクを支援。 「イラン革命」の体制を潰しにかかったこともあり、2002年にはブッシュ大統領がイランを「悪の枢軸」と断じたこともありました。

そして、今回、アメリカによるイランへの制裁が再開された経緯です。
2015年、アメリカを含む6か国とイランで、イランが核開発を大幅に制限する代わりに、制裁を緩和するという「イラン核合意」が締結されたのですが、今年5月、トランプ大統領が核合意を「欠陥」だとし、一方的に離脱。
8月には、イランの自動車部品やアルミなどを対象に制裁を再発動させました。

そして、5日…
イランの歳入のおよそ6割を占める「原油」の取引や、「イラン中央銀行」との取引、さらには、「港湾海運業者」との取引などを中心に、制裁対象は個人や団体に至るまで700件以上にも及びます。
さらに、これらの組織と取引を行う各国の企業にも厳しい制裁が科されることになったのです。
制裁対象の団体の中には、EIKO(イーコ)と呼ばれる組織が含まれているのですが、一体、どういった組織なのでしょうか。
「Execution of Imam Khomeini's Order」
直訳すると「ホメイニ・イマームの命令の実行」。
これは初代最高指導者・ホメイニ師が設立した組織です。

現在は2代目の最高指導者である、ハメネイ師が一括して管理していて、土地や会社などの収奪により、およそ10兆円以上もの資産を保有しているとされています。
アメリカは、これらの資産がテロ組織の支援やミサイル開発などに使われてきた可能性があると指摘。 制裁によって、ハメネイ師の資産を細らせる目的があるとみられます。
アメリカは今回の制裁は、イラン政府を対象としたもので、イラン国民を対象としたものではないとしていますが、イランの通貨・リヤルは暴落、食料品などが高騰し続けるなど、国民の生活へ影響が出ています。その結果、イランの首都・テヘランの街角には…
「経済的な苦しみで腎臓を売ります」
このような貼り紙が後を絶たないといいます。

アメリカは今後、制裁をさらに強化するとし、さらに厳しい経済状況に陥るとみられるイラン。 穏健派のロウハニ政権が弱体化し、保守強硬派の勢いが増せば、核開発が再開される危険性もあるとみられます。
