手作りフリップ(9月9日放送)
「北海道で震度7、全域停電はなぜ?」

今回の地震では一時、北海道全域のおよそ295万戸で停電という事態が起きました。 大手電力会社の全域での停電は初めてのことです。
こちらは北海道電力の発電所です。
地震の影響で最初に緊急停止したのが、震源地に近い苫東厚真火力発電所です。
発電所が1つ止まっただけで、なぜ北海道全域の停電になったんでしょうか。

地震発生当時、北海道の電力供給を支えていたのは、主にこの4つの火力発電所でした。 中でも、苫東厚真は165万キロワットを発電できる北海道電力で最大の火力発電所で、ベース電源として、およそ半分の電力を供給していました。 1つの発電所に依存しすぎていたことが今回の停電の大きな要因の1つでした。

そもそも家庭などで使う電気は、普段、発電所から一定の周波数で送られています。 これを保つために必要なのが、電気の使用量と供給のバランスです。
しかし今回、発電能力の高い苫東厚真が緊急停止したことで、他の火力発電所の負担が増え、一定の周波数を保てなくなりました。 火力発電所は周波数が低下すると、設備に負荷やトラブルが発生するため、それを避けるために電気供給を自動停止し、一斉に停電となりました。

今回は、稼働していた火力発電所が連鎖して全て止まったため、北海道全域の停電となりました。こうした事態を「ブラックアウト」と言います。
じつは、北海道電力は、苫東厚真依存の状況に危機意識を持っていて、石狩湾新港にベース電源にもなり得る新たな火力発電所を建設していて、来年2月に完成する予定だったんです。

また、北海道と本州の間には、緊急事態などで電力不足が起きた際に融通しあうための連系線がありますが、これもすぐに使うことができませんでした。
というのも“直流形式”を採用しているため、電気を受け取るには直流を交流に変換する必要がありますが、停電で、その装置自体が使えなかったからです。 また、その能力も苫東厚真の半分以下の60万キロワットと、脆弱さも浮き彫りになりました。

経済産業省によると、老朽化した火力発電所を稼働させたり、企業の自家発電から供給を受けるなどして電気を積み上げ、8日までにほぼ全域の停電が解消されました。
しかし、肝心の苫東厚真火力発電所は設備が損壊していて、復旧に一週間以上かかる見通しです。計画停電の可能性も検討されていて、電力供給は綱渡り状態がつづきます。
