手作りフリップ(7月1日放送)
「米貿易戦争、勝者はだれ?」

トランプ大統領の保護主義政策のあおりを受けたハーレー・ダビッドソン。 VTRにもありましたようにメイド・イン・アメリカの象徴でもあります。
去年はおよそ4万台を欧州で販売し、アメリカに次ぐ2番目の市場となっています。ハーレーはEUの措置により一台あたりの輸出負担額がおよそ24万円増えるとしたうえで、今後9か月から1年半をかけて生産拠点の国外移転を進めるとしています。

EUの追加関税の対象はトランプ大統領を支える与党共和党の地盤を狙い撃ちしているものが目立ちます。
ハーレーの本社はウィスコンシン州で、共和党ライアン下院議長の地元ですし、「バーボン・ウイスキー」は共和党上院トップのマコネル院内総務の地盤ケンタッキー州の名産品です。また「ピーナッツバター」は伝統的に保守派の牙城のジョージア州が有力産地となっています。

さらにジーンズが対象となり「リーバイス」などまさにアメリカブランドの象徴とも言える製品にも矛先が向けられています。
そして意外なものも対象になっています。EUがわざわざ関税リストの最後に追加したのは「プレイング・カード」つまりこの「トランプ」だったんです。イギリスのメディアからは「EUが手持ちの札で勝負していく意志を込めた」という見方も出ています。

最初に白旗を揚げた格好のハーレーにトランプ大統領は「関税はハーレーの言い訳に過ぎない。我慢しろ!」とツイッターに投稿。 さらに「移転すれば終わりの始まりだ。かつてない関税が課される」と怒りをぶちまけました。 EUに対しトランプ大統領はEUからの輸入自動車に追加関税をかけると警告しています。

こうしたトランプ政権の対応のしわ寄せを受けることになるアメリカ自動車工業会は国外からの輸入車に25%の関税がかけられた場合、アメリカの消費者の負担は年間450億ドル、およそ5兆円増えると試算をまとめました。一台あたりの価格上昇はおよそ63万円となり、国民がより高い製品を買わされることになると追加関税に反対を表明しました。
アメリカのシンクタンクはトランプ政権の関税政策によって146000人の雇用が失われると試算していて、トランプ大統領が仕掛けた自国第一主義がブーメランとなって、国民を苦しめる兆候が見え始めています。
