手作りフリップ(4月22日放送)
「貿易めぐり日米にすきま風?」

日米首脳会談で協議された "通商問題"。両国の間では認識の隔たりが鮮明となりました。
安倍首相が、アメリカのトランプ大統領に、“TPP=環太平洋パートナーシップ協定”への復帰を促しましたが、トランプ大統領は“2国間の協定”の方がいいという意向を示したのです。
トランプ氏が言う“2国間の協定”は日米の"FTA=自由貿易協定"を念頭においているとみられているのですが、この"FTA"というのは、2国間で関税の撤廃や削減を定めるものです。

トランプ氏は、なぜ“2国間の協定”にこだわるのでしょうか。
TPPなど、多国間での協定だと参加国が複数反対すれば1国の要求が簡単には通りません。これに対し、“2国間の協定"、つまり一対一であれば、大国であるアメリカの要求が通りやすいとみているからなのです。
トランプ氏は、今年11月の中間選挙に向けた得点稼ぎのため、この"2国間の協定"を求める構えです。

アメリカと日本の2017年の貿易額を見てみると、アメリカの日本からの輸入が15兆1819億円、輸出が8兆1828億円と、アメリカにとって、およそ7兆円もの赤字となっています。
トランプ氏は、巨額の貿易赤字をもたらしている日本に、いくつかのカードをちらつかせ、この貿易赤字を削減したい思惑があるのです。
そのアメリカ側が持つ交渉のカードとは、貿易赤字削減の見返りに、「拉致問題」で連携を強めること、引き続き「安全保障」の面で協力すること、さらに先月発動させた、「鉄鋼・アルミニウムの輸入制限の除外」などとみられています。

今後、アメリカがどんなカードを切ってくるかが焦点ですが、今年1月から行われた"米韓FTAの再交渉"では、アメリカが「輸入制限の対象から除外する」カードを韓国側へ切った代わりに、韓国がアメリカへの鉄鋼の輸出量を7割に制限することで合意。 アメリカ側に有利な合意となった「成功例」となりました。

一方、アメリカは中国への知的財産権などをめぐる制裁措置を展開。 これに対し、中国は報復関税で対抗する構えをみせていて、“貿易戦争”に発展するのでは?との懸念もあります。
ぶつかる2つの大国の間で、今、日本の対応が問われています。
