手作りフリップ(4月1日放送)
「天皇陛下と沖縄」

天皇陛下は1981年、皇太子時代に、「どうしても記憶すべきこと」などとして、4つの日を挙げられました。8月6日「広島原爆の日」、8月9日「長崎原爆の日」、8月15日「終戦記念日」、そして6月23日「沖縄慰霊の日」。
これは、20万人あまりが犠牲となった沖縄戦の、組織的戦闘が終結した日で、戦没者追悼と平和を祈る為に、沖縄県が定めたものです。

長年にわたり、沖縄に心を寄せ続けてきた天皇皇后両陛下ですが、初めて沖縄を訪問されたのは、終戦から30年後の1975年。皇太子時代のことです。この時、戦没者の慰霊の為に訪れた「ひめゆりの塔」で、事件は起こりました。
先の戦争で、県民の4人に1人が命を落とした沖縄では、当時、皇室に対する反発は根強く、訪問に反対する大規模なデモも行われていました。
この日の夜、陛下は、次のような談話を出されます。
「払われた多くの尊い犠牲は、一時の行為や言葉によってあがなえるものではなく、人々が長い年月をかけて、これを記憶し、一人ひとり、深い内省の中にあって、この地に心を寄せ続けていくことをおいて、考えられません」

その言葉の通り、陛下はその後も繰り返し、沖縄について言及されてきました。1993年には、歴代天皇として、初めて沖縄を訪問し、その年の誕生日にあたっての記者会見では、「還暦を迎えられて、最も印象に残った出来事は」と問われ、その一つに「沖縄の返還」を挙げられています。
県遺族連合会前会長で、先の戦争で家族5人を亡くした照屋苗子さんは、「最初は、戦争をとめることが出来なかったのかな、という思いもありましたが、天皇陛下が実践されて来たことをずっと見てきて、今では感謝の気持ちでいっぱいです」と話しています。

皇太子時代を含め、11回目となった、沖縄慰霊の旅。初日に訪れた糸満市では、国立沖縄戦没者墓苑を訪問し白菊の花を手向けられました。翌日には、日本の最も西に位置する「与那国島」を初めて訪問。最終日には、沖縄発祥の空手の演舞をご覧になるなど、3日間にわたり、住民たちと交流を重ねられました。
今回の訪問は、来年の退位を前に、天皇・皇后としての最後の沖縄訪問になるとみられています。
