手作りフリップ(3月4日放送)
「中国“国家主席”、任期撤廃へ」

中国の最高指導者・習近平氏。最高指導者と呼ばれる人物は、3つのポストに就くことが多くなっています。中国共産党の最高位である総書記。共産党の軍事組織である、中国人民解放軍を指揮する機関のトップ、中央軍事委員会主席。そして、法律の公布や首相ら政府高官の任免などの権限を持つ、元首の国家主席です。
この3権のうち、「2期10年まで」と任期が定められているのは国家主席だけだったのですが、それが今回、任期の規定が撤廃されれば、事実上、「終身制」が可能になります。

現行の憲法が国家主席の任期を定めていたのには理由があります。初代・国家主席だった毛沢東氏が政敵から権力奪還を狙って、1966年に起こした、「文化大革命」。
毛沢東氏が死去する1976年まで続き、政治迫害などの被害者がおよそ1億人とも言われ、大混乱に陥ったこの革命は、毛沢東氏個人に、強大な権力が集中してしまった結果、起こったものでした。その反省を踏まえ、1982年の憲法改正で任期が、定められたのです。
ご覧の通り、1982年以降、国家主席は連続2期までで交代をしています。

これまでも自身の権力拡大を図ってきた習近平氏。まず、自身の後継者を決めていません。次世代の指導者を、最高指導部入りさせて、後継者を内定する慣例を破り、去年10月の党大会では後継者を定めませんでした。
そして、厳しい言論統制。今回もインターネット上で、任期撤廃に批判的な書き込みも即時削除され、一部の民主派のSNSアカウントは封鎖されているといいます。さらに、政敵を次々と粛清していきました。
共産党総書記に就任した当初から「反腐敗」を掲げ、江沢民派や胡錦濤派の幹部や元側近などを汚職で摘発。自身への影響力を排除し、権力の基盤を固めていったのです。

今回、憲法の改正案に盛り込まれるとされる、汚職を取り締まる機関「国家監察委員会」の新設。共産党員に限らず、全ての公務員を監察対象とする強い権限が与えられる見込みです。
習・指導部の権力がより強固になり、内政だけでなく外交にも強権的な姿勢が表れることも懸念されます。
