手作りフリップ(12月17日放送)
「伊方原発に“運転差し止め”命令」

今回、運転差し止めの決定が示された伊方原発はこちら、「日本一細長い」として知られる愛媛県佐田岬半島の付け根にあります。
福島原発事故後に運転を停止し、去年8月に5年4か月ぶりに再稼動しました。現在は定期検査のため停止しています。

これまで、原発を巡る訴訟の最大の争点は「地震」「津波」のリスクでした。 しかし今回、争点となったリスクは「火山の噴火」です。伊方原発から130キロ離れた阿蘇カルデラの噴火が問題視されたのです。

今回、差し止め決定にあたり問題となった「破局的噴火」は1万年に1回程度とされているものの、阿蘇カルデラで起きた場合には周辺100キロ程度が火砕流で壊滅状態になり、さらに国土の大半が10センチ以上の火山灰で覆われるなどと予測されています。
9万年前に起きた阿蘇カルデラの過去最大規模の噴火では火砕流が160キロ先まで到達。このことから、広島高裁は130キロ離れた阿蘇カルデラが過去最大規模の噴火をした場合、火砕流の影響をうけないとはいえず、原発の立地は不適切と判断したのです。
伊方原発が新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断は不合理だったとしています。

このように9万年前に起きた噴火をもとに、原子力規制委員会は、審査内規で原発から160キロ以内の火山を検討対象としています。
今回、問題視された阿蘇カルデラは伊方原発だけでなく、川内原発、玄海原発からも160キロ以内に位置しています。

これまで運転差し止め仮処分の決定は福井県高浜原発3号機、4号機において福井地裁が出していますが、いずれもその後、異議審や上告審で判断が覆り、差し止め取り消しとなっています。
今回は、高裁が地裁の判断を覆し、運転差し止めを決定した初めてのケースとなります。

今回の決定を受けて四国電力は「安全と認識していた。到底承服できない」とし、異議申し立てと仮処分の執行停止の申し立てを広島高裁におこなう方針です。
地震、津波だけでなく、噴火のリスクが指摘された今回の判断。 現在、稼働中の原発は「高浜原発3号機、4号機」と「川内原発1号機、2号機」の合わせて4基ですが、世界有数の火山国、日本が原発と共存できるかどうかが司法から問われています。