手作りフリップ(11月26日放送)
「ジンバブエ“独裁者”が辞任」

アフリカ南部に位置するジンバブエで、これまで37年もの間、実権を握り、世界最高齢の大統領だった、ロバート・ガブリエル・ムガベ氏、93歳。 なぜ今回辞任をすることになったのでしょうか。

そのきっかけは、ムガベ氏が今月6日、大統領の後継候補だった、ムナンガグワ前・第一副大統領を突如解任し、41歳、歳の離れた、妻の、グレース氏を、自らの後任にするという意思を示したことでした。
グレース氏は、浪費癖があることから、高級ブランドの名にちなんで「グッチ・グレース」と呼ばれ、国民から批判を受けていました。これに対して軍部が反発し、ムガベ氏らを軟禁。 追いつめられたムガベ氏は辞任したのです。

イギリス植民地時代の1924年生まれのムガベ氏。 黒人解放闘争を主導し、1980年、独立を実現。 そして、「独立の英雄」として称えられ、国のトップに上り詰めたのです。 当初は、医療や教育水準の向上に努め、アフリカでは最高の識字率を実現するなど安定した国家運営は、「ジンバブエの奇跡」とも言われました。
しかし、その一方で、失敗も続きます。 白人による支配が続いていたジンバブエでは、人口のおよそ0.6%の白人が良質な農地のおよそ70%を所有していたのですが、2000年に、この白人の農地を強制収用し、農業の知識や技術がない黒人に分配する「土地改革」を断行。この結果、主要産業である農業が荒廃。さらに、選挙の際に野党を弾圧するなど、世界最悪の独裁者と呼ばれました。

そして、金融政策でも失敗。ジンバブエ中央銀行は財政赤字を埋め合わせるため、紙幣を乱発。その結果、2008年以降、一時、100円のジュースが、翌月には700億円となってしまったり、100兆ジンバブエドル札が発行されたり、歴史的なハイパーインフレーションを招いてしまったこともあったのです。

こうした結果、ジンバブエから欧米企業の多くが撤退しましたが、代わって進出したのが中国企業でした。貿易やインフラ支援を通じて影響力を拡大させた中国の狙いは、ジンバブエで採れる「ダイヤモンド」や「レアメタル」などの、豊富な鉱物資源だとみられていて、巨大経済圏構想「一帯一路」にもアフリカ諸国を加え、権益の拡大を図りたい思惑があるとみられます。
ムガベ氏の長期にわたる圧政に幕が下ろされましたが、24日、就任した後任のムナンガグワ大統領は、ムガベ氏を支えてきた人物だけに、変革が実現するのか不安の声も上がっています。