手作りフリップ(10月1日放送)
「ロシア、化学兵器全廃を表明」

ロシアが全廃したと発表した化学兵器。 主要な種類でもこれだけあり、主に「毒ガス」として使用されます。
今年も化学兵器を使用した事件はおきていまして、
・2月に北朝鮮のキム・ジョンナム氏が「VXガス」で殺害されました。
・また4月にはシリアで「サリン」とみられる攻撃で市民ら少なくとも90人が死亡しています。
化学兵器は、大量破壊兵器のひとつですが、「貧者の核兵器J と呼ばれ、核兵器に比べて開発や生産が容易で殺傷力も高く、戦争でも使われてきました。

化学兵器の始まりは古く、発明は古代ギリシャ人とされていて、 銀や鉛などを精錬する際に極めて有毒なガス「亜硫酸ガス」が発生する事に気づきました
実戦に初めて使われたのは紀元前5世紀のペロポネソス戦争とされています。 火のついたナフサ、硫黄、松やにの煙などが使われ、このように城壁の亀裂から注ぎこみ、 攻め込んだといいます。

近代では第一次世界大戦で広く使用されました。 特にドイツ軍が「塩素ガス」を使用し、フランス軍を攻撃した「イーペルの戦い」が有名です。
その後、1925年にジュネーブ議定書が締結。戦争における化学兵器の使用が禁じられましたが、開発や保有は禁じられなかったため、各国で開発が行われました。 日本でも日中戦争時に広島県・大久野島で毒ガスの開発が進められました。日本軍の化学兵器は中国吉林省などに残されたままで、日本と中国両政府が共同で廃棄作業を進めています。

冷戦時代になっても化学兵器が使用されました。ジュネーブ議定書を批准していなかったアメリカ軍はベトナム戦争で「枯葉剤J を使用。イラク軍はイラン・イラク戦争で「神経ガス」「マスタードガス」などを使用しました。

その後、化学兵器の「開発・生産・保有」を包括的に禁止する「化学兵器禁止条約」が1992年のジュネーブ軍縮会議で採択され、1997年に発効しました。 現在192カ国が批准しています。
ロシアは「アメリカが財源不足を理由に廃棄期限を延期し、義務を果たしていない」と批判していますが、アメリカも「すでに9割以上の化学兵器を廃棄したJ と強調しています。
世界から化学兵器がなくなる日は果たしてくるのでしょうか。
