手作りフリップ(6月25日放送)
「東京湾に青潮発生」

実は、東京湾でしばしば発生する青潮。
赤潮とよく似た名で両方とも漁業に大きな影響を及ぼすことがあるのですが仕組みが違う現象で、説明したいと思います。

まず、赤潮についてですが、生活排水などに含まれる窒素やリンが川を通して大量に海に流れ込むと、プランクトンが大発生します。この状態が赤潮です。
プランクトンの色で赤に見えます。赤潮が発生すると魚のエラなどに詰まったり、プランクトンの毒などによって魚が大量に死ぬ場合があります。

次に青潮の説明です。青潮はプランクトンの色ではなく、仕組みも複雑です。
まず、大発生したプランクトンが死ぬと海底に沈み、堆積します。 また、海底には生活排水などによって流れ込んだヘドロが溜まっていますが、 このヘドロやプランクトンの死骸を微生物が酸素を使って分解します。
そのため、海底付近の海水は酸素が少なくなり、酸素を使わない分解に切りかわり硫化水素などの有害物質が発生。 さらに、こうした海で水温が上がった場合、岸から沖に向かって強い風が吹くと、海面の水が沖に流され足りなくなった水を補うように、海底の水が沸き上がってきます。
この時、硫化水素などが海面近くの酸素と反応し、イオウが発生。 このイオウが太陽の光を散らし、水が青白く見えます。これが青潮です。 色は一見きれいですが、卵の腐ったような臭いがするときもあります。

青潮の漁業への影響ですが、この風が何日も吹くと、酸素が少ない状態が続き、魚や貝などが死んでしまうのです。
千葉県では青潮によるアサリへの被害が深刻で、3年前にはもともといたアサリのおよそ6割、2010年には9割近くのアサリが死滅するなど、近年、被害が相次いでいます。

現在、月曜日に発生した青潮は解消されましたが、根本的な問題が解決したわけではありません。
こちらは海底付近の酸素量を示した図です。青色が濃いほど酸素が少ない状態を示していますが、東京湾の北部の海底では依然として、酸素が少ない状態。 また、岸側からの風が発生しやすい8月下旬から9月も警戒が必要です。
赤潮や青潮への対策ですが、生活排水などの浄化は進んでいます。 しかし、海底のヘドロは、高度成長期から溜まったもので除去は難しく、抜本的な解決方法がないのが現状です。