手作りフリップ(5月21日放送)
「現代史イラン・なぜ反米?」

今回のイラン大統領選挙は、保守穏健派の現職・ロウハニ師と、反米の保守強硬派・ライシ師との事実上の一騎打ちとなりました。結果はロウハニ師が再選。選挙戦は、一時、強硬派の巻き返しもありましたが、背景には国民の反米感情があります。

そもそも、第2次大戦後のイランでは、親米派のパーレビ国王による王政が続き、石油などの利権は欧米資本に握られていました。
1951年、国王と対立する政権が誕生。英国の石油会社を国有化しましたが、アメリカが画策したクーデターで崩壊。再び国王が実権を握ります。
その後、アメリカを後ろ盾に経済成長が進みましたが、利益は国王や特権階級に集中。 強権政治で国民を弾圧しました。 こうした経緯で、イランでは反米感情が大きくなったのです。

そして'79年、反米を掲げるイスラム教の指導者、ホメイニ師の指導でイラン革命が起こり、イラン・イスラム共和国が建国。国王は亡命します。
この直後、学生らが米国大使館を占拠し外交官らを人質にとる事件が発生。 これにより、アメリカはイランとの国交を断絶、対立が続きます。

イランには、大統領よりも権力を持つ"最高指導者"がいて、ホメイニ師の後の、ハメネイ師も"米国の圧力に屈しない"とする考えです。
対立の中で、ハタミ大統領がアメリカとの関係改善を探りましたが、「核開発疑惑」が起こったり、2002年には、ブッシュ米大統領がイランを「悪の枢軸」と名指しで批判。うまくいきませんでした。

2013年、ロウハニ大統領が誕生。アメリカなどとの間で、核開発を大幅に制限する「核合意」に応じるなど、関係改善の兆しが見えました。
しかし、今年、アメリカでは「反イラン」の姿勢を強めるトランプ大統領が誕生。 中東では、イランはイスラエル、サウジアラビアとも対立。 シリアやイエメン内戦にも影響を及ぼしています。

トランプ大統領は初の外遊で、サウジに約12兆円に上る武器輸出で合意。再び、対立関係に戻るのでしょうか。