手作りフリップ(5月14日放送)
「新しい韓国大統領、文在寅氏とは」

北朝鮮に融和的と言われる文在寅氏ですが、どのような人物なのでしょうか。
文在寅氏が生まれたのは1953年、韓国南部の巨済(コジェ)島生まれ。64歳です。 両親は、朝鮮戦争の時に北朝鮮側から逃れてきた避難民で、貧しい少年時代を過ごしました。社会人になると、人権派弁護士として活動していました。

文氏が韓国政治に関わるきっかけとなったのが、弁護士時代からの盟友で、後に大統領となる盧武鉉氏です。盧氏の大統領就任から、側近として政治に携わりましたが、その盧氏が退陣して2009年に自殺。そのことをきっかけに政界入りを決めました。

文氏が影響を受けた盧武鉉氏は、革新派の大統領でした。
韓国の歴代大統領を振り返ってみると、軍事政権の後に、保守対革新が政権交代を行ってきました。その大きな違いは北朝鮮への姿勢にみられます。保守は北朝鮮に対して強硬な姿勢ですが、革新は同じ民族として和解を目指す考えです。このため、革新政権では、南北首脳会談や、北朝鮮への大規模な経済支援などが行われてきました。

盧武鉉大統領の後、保守に政権を奪われましたが、革新に政権を取り戻すために登場したのが文氏だったのです。2012年文氏は大統領選に出馬。このときに争ったのが、朴槿恵前大統領でした。実は文氏は学生時代の1975年に、朴槿恵氏の父・朴正煕氏の軍事政権に反発して、民主化運動を行い、投獄されたことがあります。朴親子とは浅からぬ因縁関係があるのです。

ところで文大統領、日本との間に、大きな課題があります。
慰安婦問題をめぐる日韓合意では、文氏は選挙中に日本側に再交渉を求める考えを示していましたが、安倍総理との電話会談では韓国内で否定的な意見が強いことに触れただけでした。日本側が求める「少女像の撤去」については、「民間の分野で起きたことを政府が解決するには限界がある」とけん制。竹島問題については、去年7月に竹島に自ら上陸。日韓の間で軍事機密情報をやり取りするための協定については、更新に後向きな姿勢を見せています。

課題は山積していますが、文大統領はどのような政治手腕を発揮していくのでしょうか。