手作りフリップ(4月30日放送)
「羽生善治三冠を破った14歳、藤井聡太四段とは」

羽生さんを倒した藤井聡太四段とは、去年、史上最年少14歳2か月でプロ入りと62年ぶりに記録を塗り替えた中学3年生。ちなみに中学生でプロ棋士になった5人目です。
第1号が現役最年長プロ加藤一二三・九段で、去年<最年少対最年長>となったデビュー戦でも藤井四段は臆することなく見事に勝利。この水曜日にも勝利しデビュー14連勝と、公式戦での連勝記録を更新中です。

そもそも藤井四段は、5歳からおばあちゃんの影響で将棋を始め、ひらがなよりも先に飛車など、漢字を覚えたといいます。
小さい頃には、お風呂のタイルを将棋盤に見立て、仮想の対局をやってのぼせてしまったことも。また数学が大好きで美術は大の苦手。数学や将棋は「最善手」があるが、絵は最善がなく答えは「無限」だからだそうです。そして詰将棋でも右に出る者はいません。先月トッププロ棋士参加の詰将棋大会で3連覇を果たしています。

今回、羽生三冠を破った<最後の盤面(ばんめん)>がこちらです。 その羽生三冠に『これからどれくらい伸びていくか。すごい人が現れた』と言わしめました。
何が凄いかというと、今回の対局は公式戦ではなくインターネット番組の企画でしたが、将棋の世界はC2組からAまでランクが分かれ、藤井四段はC2組一番下。なのにAランク10人の内3人、更に若手のホープと呼ばれる人たちを相手に6勝1敗という快挙を成し遂げました。

ではその強さはどこから来ているのか? 加藤一二三・九段は『今までの棋士の中で、多分3本の指に入るぐらい研究量が多い。相手の不得手の作戦を用いるところが強さの秘密だ』と指摘しています。

またこんなヒントも。脳科学の研究者・田中啓治さんはプロとアマでは使う脳が違うと指摘します。プロ棋士とアマチュアに詰め将棋の問題を見せた時、脳のどの部分を使っているか調べた結果…アマチュアの場合、人間が意識して考える時に使う部分が反応。一方、プロ棋士は『無意識の行動をする時に使う部分(尾状核)に強い反応』がありました。
プロ棋士の答えは、深く考えるのではなく、膨大な手の中から最善手を瞬時に導き出す『直観』から生み出されていたのです。

藤井四段の場合、5歳で始めた詰め将棋を10年間ほぼ毎日続けてきたことで、その膨大な反復が脳に蓄積され、史上最年少でプロになれる直観が養われたと田中さんは指摘しています。
次の公式戦対局は明日。15連勝と記録を伸ばせるでしょうか?