手作りフリップ(4月23日放送)
「トルコ改憲で、エルドアン大統領の独裁に…?」

トルコではこれまでは『行政のトップ』として首相が実権を持ち、大統領は国家元首として『三権の調整役』を担っていました。それが今回の憲法改正で『首相は廃止』、大統領が国家元首と『行政のトップ』を兼ねることになります。
『議院内閣制』から『大統領制』へと移行し、大統領は『閣僚の任命権』や『国会の解散権』など、権限が大幅に拡大されることになるのです。

さてトルコは、ヨーロッパと中東に接していて、両者の架け橋役を務めてきました。
99%がイスラム教徒ですが「政教分離」の世俗主義が国是とされ、また中東地域で唯一NATOに加盟するなど、欧米と良好な関係を築いています。
しかしEU諸国からは、憲法改正によってエルドアン氏の大統領の任期が最長で2029年となることから、トルコの『イスラム化』や『独裁化』が進むのではないかとの、懸念の声が上がっています。

エルドアン氏は首相を務めていた時から、イスラム教的な価値観の拡大に積極的で、世俗主義という国是は維持しながらも、2005年から2015年の10年間で国内に9000近くの『モスク』を建設しています。
また去年のクーデタ未遂事件後は、10万人もの軍人や公務員を、解雇・停職処分にして、メディアへの規制も強めています。
ではなぜエルドアン氏と与党『公正発展党』は、およそ15年ものあいだ、国民の支持を受けてきたのでしょう?最大の要因は格差是正と経済の安定化です。
イスタンブールの貧民街出身のエルドアン氏は、『貧困層の支援』に力を入れてきました。また今日まで一定の経済成長を維持しています。

一方、トルコとEUの関係が悪化するという懸念がありますが、専門家は、EU加盟交渉国であるトルコは、経済面でも政治面でも繋がりが強く、トルコがEUに渡ろうとする難民を受け入れていることもあり、両者の関係が極端に悪化することはない、と分析しています。
しかしトルコには『クルド問題』『イスラム国のテロ』、『シリア内戦の行方』と、 不安要因が沢山あります。大統領制に移行するのは2019年11月ですが、国際社会は 事態を、注意深く見守る必要があります。