手作りフリップ（4月9日放送）
「ロシアのテロと『イスラム国』」
今回の事件で容疑者とされた男は、中央アジア・キルギス出身です。キルギスは旧ソビエト連邦で、人口の大半がイスラム教徒です。
中央アジアには他にも、タジキスタンやウズベキスタンなど、旧ソ連でイスラム教徒が多く住む国々がありますが、こうした地域では、貧困などを背景に、イスラム原理主義勢力の浸透が懸念されています。 ・・・というのも、イスラム過激派の拠点に囲まれているからです。
● シリア・イラクには「イスラム国」
● アフガニスタンにタリバン
● パキスタンには「パキスタン・タリバン運動」
● 新疆ウイグル自治区にも少数民族
ウイグルの分離・独立を目指す「東トルキスタン・イスラム運動」などがあります。
ロシアではテロが繰り返されてきましたが、2002年10月にモスクワの劇場が占拠され、人質およそ130人が死亡したテロをはじめ、従来のテロは２度の独立紛争を経たチェチェンやその周辺のイスラム過激派によるものが中心でした。
こうしたテロは、2014年ソチ冬季オリンピックの前に治安が強化されたことで、少なくとも大都市では封じ込めに成功したとされていました。
しかし、内戦で混乱していたシリアで活動を活発化した「イスラム国」に対し、プーチン政権が2015年9月に空爆作戦を開始したことから、状況が変化。ロシアがアサド政権を支援し、「イスラム国」を敵に回すと、
● その直後の2015年10月、エジプトのシナイ半島でロシア旅客機が空中で爆発し、乗客乗員224人全員が死亡。「イスラム国」が犯行声明を出しました。
● 先月24日にもチェチェンで、治安部隊の駐屯地が武装勢力に攻撃され、ロシア軍兵士6人が死亡。「イスラム国」が犯行声明を出しました。
● 「イスラム国」はロシアへの攻撃を予告する動画をインターネットに公開しています。
中央アジアからは、「イスラム国」に数千人以上が参加しているとみられ、ロシア政府はそれらの戦闘員が母国やロシアでテロを起こすことに警戒感を示してきました。中央アジアに及ぶ「イスラム国」の影が、磐石を誇ったプーチン政権の足元を揺るがすことになるのでしょうか。