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撮影レポート 鈴木拡樹 篇

2017.12.12

2017年3月〜6月に上演された“Season花”を皮切りに、6月〜9月の“Season鳥”、9月〜11月の“Season風”と、季節ごとに脚本、演出、キャストを変えながら、進化し続けている劇団☆新感線の『髑髏城の七人』。11月末にいよいよ開幕する“Season月”は、まったく同じ脚本と演出をまったく違うキャストで、“上弦の月”と“下弦の月”の2チームに分かれて上演する“ダブルチーム”という試みに挑戦します。“上弦の月”で早乙女太一さんが演じる<天魔王>役を、“下弦の月”で演じるのは鈴木拡樹さん。『煉獄に笑う』や『刀剣乱舞』シリーズなどの舞台で圧倒的な人気を誇る鈴木さん、劇団☆新感線にはこれが初参加となります。

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鎖帷子(くさりかたびら)風のインナーを着た段階でヘアメイクをひととおり済ませ、フロアに出てから広いところで甲冑を装着することになった鈴木さん。スタッフが数人で取り囲み甲冑のパーツをひとつひとつ丁寧に装着し、大きい羽のような肩部分の飾りと重厚感のあるマントを整えると、撮影スタートです。まずはテスト撮影をしている段階で、モニターを確認しに来たスタッフたちから「すっごく綺麗!」「ヴィジュアル系バンドにいそう!」「顔が涼やか〜」「コワ美人!」「笑うとますます怖い!」などの感想が聞こえてきます。

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カメラマンの野波浩さんからは「左手を身体に近づけて」「右の肘はもっと上げて」など、ポーズの注文に加えて「目はもっと冷たく」「突き刺すようなイメージで」などと表情に関する指示も多く、それらの細かいリクエストに順に応えていく鈴木さん。アートディレクターの河野真一さんからは、右腕に装着された長い骨の位置を変更したいとの希望が出て、それには衣裳スタッフが瞬時に対応し、骨パーツを外して後ろから前に垂らすスタイルへとその場で手直ししていきます。

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その作業をスタッフがしている隙に、ちょうど撮影の様子を確認しにスタジオに来ていた演出のいのうえひでのりさんが鈴木さんに声をかけ、改めてこの場でご挨拶。鈴木さんのヴィジュアルを眺めて「めちゃめちゃカッコいいじゃない!」と、ニコニコと満足そうに頷くいのうえさん。

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「カメラのレンズを捨之介だと思って動いてみて」と言われた鈴木さんは、大きく両手を広げて構えたり、妖艶に微笑んでみせたり。ブロワーやサーキュレーターを駆使して風を巻き起こし、マントをダイナミックに揺らしながら、迫力のあるショットが撮られていきます。

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続いて兜と仮面を持っての撮影に入ると、「強い目線をカメラにください!」と言われた鈴木さん。「はい!」と力強く返事をすると、カメラに向かって手を伸ばしながらグッとレンズを睨みつけます。さらに片足を箱の上に載せてポーズをとると、身体を前傾させつつ、「ハハハ!」と大きく笑ったり、歯を食いしばったりと表情を激しく変化させていきます。

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「今の、イケたな」とOKが出たところで、セットチェンジ。背景の色や照明の位置を変えて、少し動きをつけながらの撮影に入ります。河野さんから「イライラしながらうろうろしたり、刀を振り回したりしてみて」「刀を収めてマントを振りまくってくれる?」「次は部下に命令するような仕草で」などの具体的な演出が入ると、鈴木さんはブツブツと何かを呟きながら歩き回ったり、刀を構えて唸りながら怒りの形相になったり。ダイナミックにマントを振り上げたかと思うと、刀を抜いて目の前にいる誰かを切り捨てるような仕草をしたり。そうした、まるでひとり芝居をしているかのような動きには、モニターを見ていた河野さんも思わず「おぉ、カッコいいな!」とニヤリ。

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最後のカットを撮り終え、「OKです!」と声がかかると一瞬で表情が緩み、自らもスタッフたちと一緒に拍手する鈴木さん。その柔らかな笑顔には既に先ほどまでの人間離れした空気感はありません。衣裳を外し、メイクを落としたあとで、撮影のことや作品への想いを伺ってみました。

——まずは本日の撮影の感想からお聞かせください。
衣裳合わせをさせていただいた時点で、これはきっとすごいものが来るだろうなと構えていたんですけど、予想していたよりもさらにすごい衣裳だったので本当に驚きました。僕が観たことのある『髑髏城〜』では、天魔王は黒い甲冑のイメージだったので、「あれ? 金色??」ってビックリして。

——今回は色が違う、と。
本当のところはわかりませんが、もしかしたら月明かりとかそういうイメージなのかな〜なんて思ったりして。そして装着してみると、何故かとても着心地よく感じたんです。

——身体にピッタリ合わせて作られていたからですかね?
そうかもしれないですね。ただ、やはり動くとすぐ暑くなりそうなので、これを本番で着るのだとしたら水分補給はマメにしなきゃな、と思いました。倒れないように、気をつけます(笑)。

——撮影中は、まさに熱演!という感じで。途中からお芝居を見ているかのようでした。
いや、撮影前に河野さんから具体的なシチュエーションを与えていただいていたので。すごく楽しい撮影でした。本編にはない設定なのかもしれないですけど、僕なりにいろいろと想像しながらやらせていただきました。

——何か、セリフみたいなことをブツブツ言っていましたよね。あれは誰に向かって言っていたんですか。
自分の中では捨之介にしゃべりかけたり、髑髏党の鉄機兵に向かって命令したりしていました。実際の『髑髏城〜』のセリフというわけではないので、ちゃんとした言葉にはしていなかったんですけどね。あくまで、個人の抽象的なイメージでやらせてもらいました。

——新感線という劇団のイメージとしてはどうでしたか。ご覧になったことはありますか。
『乱鶯』と、少しさかのぼって『鋼鉄番長』を拝見しています。他にもDVDで観させていただいていて。いのうえさんの演出で、セットが回転しながら沈んでいくように見える時とかあるじゃないですか。あれってどうやっているんだろう?とか、障子に血が吹き飛んだけどどんな仕掛けなんだろう?って、お客さんと同じようにワクワクしながら、いつも観ています。舞台転換がまるごと、楽しいですよね。すごいエンターテインメントだなといつも思っていました。

——そして今回、IHIステージアラウンド東京版の『髑髏城の七人』に関してはいかがですか。
いや〜、すごいです! 回った瞬間の空気とか、客席でお客さんたちと一緒にシンクロしてみてよくわかりました。役者が登場した瞬間、客席がピリッ!と引き締まる感じも体感できましたし、すごく楽しかった。客席が回転し出す瞬間とか、雨が降ったりとかするたびに、いちいち驚いたり、感動したり。「わー、舞台上に川がある!」とか。でも、やはり役者をやっているものですから、気になる部分もあって。兵士とか、川の中に足を突っ込んで戦っているじゃないですか。「よーくやれるなあ!」とか、そこはあとで考えればいいのに、つい(笑)。いろいろな感情が動きましたね。

——劇場に行くと、改めて感じることが多そうですよね。
はい。あと、この劇場の場合は一番後ろの席のお客様まで、どのくらいの勢いをつけたら届くのかということも意識して演じたいと思っていて。それは自分がいつも心がけているというか、目標にしていることでもあるんですけどね。せっかく劇場まで観に来てくださっているお客様には、やはりどの席からでも同じようにナマの実感を味わってもらいたいので。そのためには後ろの席を意識するということもとても大事になってくると思うんです。この回転する劇場でも、前列、真ん中、後列、いずれも同じ衝撃を与えたいなというのが、僕の今回の目標です。

——きっと、お客様には嬉しい言葉だと思います。
ふふふ、がんばります(笑)。

——また、これまでもやられているとは思いますが、今回は時代劇で、殺陣、アクションがあるということに関してはいかがでしょうか。
殺陣のある舞台には出ていますけれども、得意というよりも、殺陣をすることが単に好きなんですよ。比べられるという点では怖いですけど、今回はなにしろ太一さんがいてくれるから、もし自分が引っかかっている点があっても、太一さんがやっている姿を見ることで抜けだせるヒントが得られそうな気もするし。そこはとても心強く思っています。

——最高のお手本が目の前にいるような。
ある意味、そうですよね。そうやってヒントを得るチャンスがゴロゴロありそうで、そういう意味でもダブルチームは面白そうです。

——早乙女さんに相談したら、いろいろなことを教えてくれそうですね。
僕ってすごく幸運だなと思います。“上弦の月”で自分と同じ役を早乙女太一さんが演じているということは、学べることがものすごく多いでしょうし。ただ教わるだけではなく、ちゃんと自分自身も持たなきゃなとも思いますが、その塩梅が難しそうですね。

——“下弦”はどんなチームになりそうでしょうか。知っている方がいたりしますか?
共演したことがあるのは、無界屋蘭兵衛を演じている廣瀬智紀くんです。彼とは3回ほど共演していてよく知った仲なので、お互いの意見交換をしつつ一緒に稽古ができそうだなと思っています。あと、主演の宮野真守さんが声をあてていらっしゃるアニメのキャラクターを僕、演じたことがあるんですよ。

——ちなみに、どの役ですか?
『K』の、伏見猿比古という役です。同じキャラクターを演じたことがあるというのも、面白いご縁ですよね。

——“上弦”チームのほうには、どなたか共演経験のある方はいらっしゃいますか?
僕、実は粟根まことさんと一度だけ共演したことがございまして。覚えていらっしゃるかどうかわからないですけどケイダッシュステージさんの、『abc★赤坂ボーイズキャバレー』(2010〜2013年)という作品で。またご一緒できると思ってうれしかったんですけど、チームが分かれちゃったのがちょっと残念です。

——でも稽古は一緒ですから。
そうですよね。あらゆる知識を持ってらっしゃるので、またお芝居に関係ないことも含めていろいろな話を聞かせていただきたいなと思っています。

——では、お客様へメッセージをいただけますか。
はい。公式HPをご覧になっているみなさま、鈴木拡樹と言います。

——挨拶から、入りますか?(笑)
いや、最初に挨拶するの、忘れていたなと思って(笑)。とにかく新感線初参戦なので、緊張感は持ちつつ、でもせっかくなので楽しみたいとも思っているんですよ。自分が楽しんでやっているということをこの身体を通して表現することで、みなさんにも楽しい思いをしていただきたいですし。そしてやはり“上弦の月、“下弦の月”と両方観ていただけると本当にうれしいなと思っています。劇場で、お待ちしています。