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撮影レポート 池田成志 篇

2017.06.20

劇団☆新感線に客演するのは今回でなんと12回目となる池田成志さん。とはいえ『髑髏城の七人』への出演はこれが初めて。毎度のことながら、怪しさ、胡散臭さMAX!の扮装を颯爽と着こなし、謎の刀鍛冶・贋鉄斎役を演じます。

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テスト撮影のために衣裳を着けてフロアに出てきた途端に「今度の贋鉄斎はロン毛か!」「またかよー、でもどこかで見たような……?」「成志先輩と言えばアイパッチ、アイパッチと言えば成志先輩ですよね!」などと周囲から好き勝手なコメントを浴びせられる池田さん。「そうですよ、いつも通り、よくやってるヤツですよ……」と開き直るその姿には、まさにイメージ通りだったのか、いのうえひでのりさんもニヤリと満足げ。

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見た目の印象はかなり違う雰囲気になっているものの、頭の上に頭襟(ときん)を乗せ、手にする小道具は玄翁(げんのう)というスタイルは、これまでの贋鉄斎と同じです。衣裳は筒袖の着付に、裾を絞ったくくり袴。ベストのような長い羽織に、毛皮のファー、金属の飾りなどのモチーフがたっぷりつけられています。

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すると、いのうえさんが「カツラにもうちょっと白髪を入れたほうが良くない?」とリクエストし、ヘアメイク担当のスタッフが早速白髪を足してみることに。さらにヒゲも用意されたものを何パターンか実際につけてみてから、「これにしよう!」と決定。その間、小道具の高橋岳蔵さんは、革や布を切ったり裂いたりしたものを池田さんの首まわりや手首などに巻いたり、衣裳に縫い付けたりと、細かい作業を続けています。メイクをしてから、その上に傷メイクもたっぷりと施し、顔や衣裳に“汚し”を入れ……これらの微調整がすべて整った時点で、いよいよ本格的に撮影がスタート。

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カメラマンの野波さんが「まずは、二枚目風に撮っておく?」と聞くと、「そうだね、とりあえず、今はね……」とアートディレクターの河野さん。野波さんからの「ちょっと眉間に皺を寄せてみて」「気持ちをぐーっと前に出す感じで」などと指示を受け、池田さんはカッと目を見開いたり、口をゆがめたり、ニヤリと微笑んだり。河野さんが「カッコイイじゃん」と呟くと、野波さんは「ちょっと二枚目過ぎたか」と笑っていました。

いのうえさんが「刀の切っ先を見つめてみたら」とアイデアを出すと「あ、いいかもしれないですね」と河野さん。さらに、いのうえさんが自ら刀を抜いて演出をつけると、シブめに決まった池田さんのたたずまいに「なんだか、めっちゃ強そうじゃん!」「二回転してかっこよくなってきた!!」と大好評。「でも、誰かに似てない?」という意見には、池田さん本人が「柳生十兵衛か?完全にサニー千葉じゃん!」と叫び、スタジオ内は大笑い。

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とはいえ、ビシッと刀を構えると再び「カッコイイ!」との声が飛び、河野さんもつい「成志じゃねえみたい……」と、ボソッ。次に、玄翁も入れて撮ることになり、早速池田さんは玄翁を肩に担いで、ポーズ。刀は三本差しで、二刀流ならぬ、三刀流?高橋さんも玄翁の持つ位置や向きを、モニターを見てチェックしながら「こうやって、刀をいっぱい持っているだけで調子に乗ってるヤツみたいで笑えますよね」と楽しそう。

さらにいのうえさんが「抜き身を片手に持ってみて」と注文すると、高橋さんも「さらに調子に乗ってる感が出て、いいですね!」とノリノリ。さらに野波さんから「刀をいっぺんくわえてみて」と言われた池田さん。「これさ、変態の写真になってない?今日はやっと野波さんにかっこよく撮ってもらえると思ってきたのに……」と池田さんがボヤくと、「役がそういう役なんだから仕方ないじゃない」と笑ういのうえさん。

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床に向かって玄翁を思いっきり振り下ろすショットでは、野波さんは寝転んで下から煽りながら迫力ある写真を狙います。池田さんも「コー!アイヤー!カー!ハー!」などと叫びながら玄翁を振り回します。誰かが「餅つきみたい……」と言うと「ネタものになってるがな!」とツッコミが入り、またもや爆笑。最後まで笑い声が絶えない、この日のスタジオなのでした。

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池田さんにも『髑髏城の七人』のこと、“Season鳥”への想いを伺ってみました。

——劇団☆新感線には数えきれないくらい出演されていますが『髑髏城の七人』へは初めての出演になるんですね。
そう、僕の場合はあまりこういう作品には呼ばれませんからね。一応“いのうえ歌舞伎”では『西遊記』(1999年)とか何本かには出ているはずですが。

——『髑髏城の七人』という作品に対しては、どういうイメージをお持ちでしたか。
まあ、『阿修羅城の瞳』と『髑髏城の七人』が新感線の代表作だろうなと思っていますけれども。ある意味、死にゆくもの、滅びの美学というか、ぱーっと散っちゃうことを意識しすぎて、そっちの方向に酔っちゃうとよろしくないんだろうなと思うんですよ。初期の新感線の『髑髏城の七人』は、まだみんな若かったし、前半を観ていたらこいつら絶対死なないんだろうと思うから、だからこそ効くんだけど。最近はいつも『髑髏城の七人』をやるたびに、そういうことを思ったりしますね。だから特に前半はやっぱりパワーがないと、要するに面白くないとダメだってことですよ。散り際の美学がどう、というよりもただ「生きる!」みたいなほうがいい。だいたい、まずそこが新感線の魅力ですしね。なので、どう死ぬかではなく、どう生きていくかということを強く考えるものにしたいなと思っています。

——その『髑髏城の七人』が“花・鳥・風・月”とパターンを変え、しかも新しい劇場でやるという今回の企画を聞いた時、最初はどう思われましたか?
正直な話、無謀だなと思いました(笑)。でもこうなったからには、いわゆるコアな演劇ファン以外、たとえば観光客とか地方の方にも観てもらえるようにしたい。つまり僕らがニューヨークやロンドンの旅先でお芝居を観るような感覚になってもらわなきゃいけないんじゃないか、と。そうしないとあれだけのキャパは埋まらないんじゃないかなあ。だけど俺たちだけじゃなく、毎回いろいろ変えていかなきゃいけないなんてスタッフもかなり大変なはず。特に、全部に関わるいのうえさんのことが心配ですよ(笑)。

——本番と稽古の繰り返しが続きますからね。
スタッフも、いのうえさんの演出に慣れている人じゃないとキツイだろうし。ま、出演者はみんなおおむね、こういう「大変だろうな」みたいなことしかコメントできないと思いますけどね。だって新しい劇場だし、今回はまさに実際にやってみないとわからないですよ。

——ちょっと想像がつかないですよね。
360度ということは、かけることの4倍くらいは動かなきゃいけないということになりそうだし、相当きつそう。身体だけは大事にしないとなと思っています。だからむしろ、今はどう楽しむかというより、何か予防したりしなきゃいけないなという気持ちのほうが強いかな。でも、あくまで僕ら“鳥”は2本目なので。1本目の“花”の人たちはきっともっと大変なんだろうなあ。

——とりあえず“花”チームの舞台を事前に観ることができますからね。
そこは助かるかもしれないですね。でも、改めて気づく変更点が全部俺たちに来るわけで。まあ、だからこそ結構使いやすい連中をキャストに揃えたんじゃないですか。

——そうですか?
だって、言えば何でもやってくれるような、奴隷のような(笑)、小劇場の役者ばかりじゃないですか。

——(笑)。そして今回は贋鉄斎の役をやられるわけですが、この役柄についてはどんなイメージを持たれていますか。
贋鉄斎はいつも通りの贋鉄斎なんでしょうから。とはいえさっき、いのうえさんはちょっと違うようなことを言っていたな。殺陣とか、まあ、またいろいろやるんでしょう、覚悟はしています。だけど“鳥”の捨之介は阿部(サダヲ)だからなあ。俺と阿部じゃ、集中が切れちゃうような気がして仕方がない。だって殺陣の場面で笑っちゃったらヤバイじゃないですか。あいつ、ゲラだからすぐ笑うんだけど、俺もついつられちゃうんで。ま、何度も共演しているので勝手知ったる、ではありますけどね。

——では、お客様へ向けてメッセージをいただけますか。
チケット代も安くはないので、はっきりいってそんなにリピートしていただかなくても……いや、していただいてももちろん嬉しいですが(笑)。それよりもせっかくの新しい劇場だということもあるので、新しいお友達をお誘いいただきたいというのが、われわれ演劇界の希望なんです。とにかく演劇のパイを広げたいですから。ここにしかないので特別感もありますし、今、話題の豊洲でもありますし(笑)。ぜひとも演劇に馴染みのない新しい友達をお誘いの上、来てみてください!