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撮影レポート 清水葉月 篇

2017.06.13

『髑髏城の七人』Season鳥の出演陣で唯一劇団☆新感線に初参加となるのが、沙霧を演じる清水葉月さんです。舞台を中心に、映画やテレビドラマでも活躍している注目度急上昇中の清水さん。その華奢でスタイル抜群な、くノ一姿には周囲の感想も「細〜い!」「足、長〜い!!」と絶賛の嵐。テスト撮影をモニターで確認していた、いのうえひでのりさんも「うんうん、いい感じじゃない」とニコニコ見守っています。

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「つっぱった感じの表情からいってみようか?」とアートディレクターの河野さんが声をかけ、撮影スタート。早速、サーキュレーターやブロワーを使って風を送り、ポニーテールの髪の束が勢いよく後ろに流れるようにコントロールしつつ、絶妙の瞬間をとらえてシャッターが切られていきます。

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カメラマンの野波さんからは「左の肩をもうちょっと落として」「背中をスーッと伸ばして、頭のてっぺんから上に引っ張られている感じで」「カメラレンズよりもっと後ろ、遠くのほうを見て」など、姿勢や視線のリクエストが多く出されている様子。清水さんもその声に敏感に反応しながら、キリッとクールにキメたり、ニコッと無邪気に微笑んだりと、さまざまな表情を見せていて実に魅力的です。

河野さんから「沙霧、遠慮してちゃダメだ。もっと、もっとカッコつけていいんだよ」とアドバイスされ、清水さんは「ハイ!」と元気よくお返事。さらに「スケバンがケンカ売ってるみたいな顔で」という言い回しをした河野さん、「あ、スケバンって言い方は古すぎか」と苦笑していると「いえ、通じましたよ」と清水さん。強めの目線で、カメラを睨むようにしながらポーズをとっていきます。

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次は、小道具の小刀を手にして撮ることに。小刀を逆手で構える持ち方は、小道具の高橋岳蔵さんの指導が入ります。さらに、いのうえさんまで自らお手本としてやってみせたりしながら、清水さんを盛り立てます。河野さんが「小刀をただ構えたままじゃなく、いろいろ動かしてみて」と声をかけると、今度はアクション監督の川原正嗣さんが細々とアドバイス。

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清水さんの長い足をさらに長く見せるようにスカート丈の後ろ側をより短めにしたり、ポーズによっては腰についた道具袋を外してみたりと細部にわたって工夫を凝らしながら、撮影は続きます。河野さんはモニターに映し出されたショットを指さし、清水さんに「このへんの表情がいいです」と言うと、「ハイ!」と清水さん。さらに「たまにウインクとかしてみる? 沙霧は少し調子づいているくらいの表情のほうがいいよ」と注文。再び川原さんがポーズを決め、清水さんがそのようにやってみせると「できるじゃん!」と大好評。また「今、自分の後ろに天魔王がいることを感じながら、冷たい目線で右方向を見て」との指示には、よりクールな表情に挑戦。野波さんからも「少しニヤついてみて」「ふてぶてしい顔で」と微妙なニュアンスを求められるようになると、今度は河野さんに「お、いいじゃん、かっこよくなってきた」「やっと笑えてきたかな」と言われた清水さん、「アハハハ、すみません!」と照れ笑いしながら明るく返し、撮影も中盤になって少しずつ余裕が生まれてきた模様です。

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“ウメガイ”と呼ばれる小刀と、棒手裏剣を持っての撮影に入ると、「さ、できるかな?」と河野さん。するとこれらの武器の持ち方を指導している高橋さんが「この子はできる子だから大丈夫!」と力強くフォロー。「3本を等間隔に持ってもらえると嬉しい」との河野さんからの指示に、野波さんも「そうしてもらえると俺も嬉しい」と重ねてニッコリ。ここでは不敵に笑ったり、かなり極端な前傾姿勢になったり。その背後に煙も入れつつ、動きのある写真が撮影されていきます。

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衣裳の堂本さんに聞くと今回の沙霧の衣裳は“黄金比”を追求したとのこと。「ナマ足がいいとのご注文だったので、マイクロミニにしました。フードも着脱できるようになっています。上着の模様は唐草風。ブルーとオレンジと革のこげ茶で、エスニック風をずらしてミックスさせた感じですね」

撮影も後半に入ると「叫んでみようか」ということになり、清水さんが強めの風を正面から浴びながら「うわぁーっ」と身体が震えるくらいに力をこめて叫んでいると、「なかなか、いい声だね!」とモニター前に人が集まってきました。その様子を見て、「えへへ」と少し照れ臭そうな笑顔を見せる清水さん。

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清水さんにとっては、まさに初挑戦だらけの舞台となる『髑髏城の七人』Season鳥。この大きな転機に目を輝かせる清水さんにも、撮影の感想、本番への意気込みなどを伺いました。

——今回、『髑髏城の七人』Season鳥に出演することが決まって、まずどんなことを思われましたか。
マネージャーに呼び出されて企画書を出された時には「へえ、劇団☆新感線だ、すごい企画が動き出すんだ」「この作品のオーディションを受けるのかな?」と、最初は自分が出るものとしては見ていなかったんです。出ることになったんだと聞いても、すぐには「よっしゃー」って、切り替えができませんでしたね。そんな感情の前にただ自分の名前を見て、静かに興奮するばかりで。あとになって、体力をつけなければ!ということはまず思いました。

——劇団☆新感線のことはご存知でしたか?
もちろんです! でも『髑髏城の七人』はナマで観たことがなかったので、DVDで2011年版と『アカドクロ』を観させていただきました。もう、とにかくカッコイイですよね! それでいてちゃんと日本の歴史劇みたいな部分もあって。老若男女、誰もが楽しめるエンターテインメントだな、とそんな風に思いました。DVDを観たのは出演が決まったあとだったのに、とりあえず自分が出ることは置いておいて、夢中で観てしまいました。とはいえ、ふっと途中で思い出すんですよね、「私が、この沙霧役をやるんだ……!」と。「沙霧、すごい走ってる!」とか思いながら観ていました(笑)。

——沙霧という役柄には、どんなイメージがありますか。
登場人物みんなかもしれないんですけど、背負うものがあって。それでもすごくはつらつとしていて、元気。そういう印象がすごく強く表面上には出ているんですけど、どこかちょっと切ない感じもあるなあって、初めて観た時には思いました。

——清水さんから見た、今回のカンパニーはどういう印象ですか。
私が一方的に知っている役者さんたちばかりで、共演者としてご一緒するのは、みなさんと初めまして、です。みなさん本当に色気があって芸達者な方ばかりで、稽古場にいたら普通にじーっと観察してしまいそう。だけど私はそこで緊張している場合ではないんですよね。足を引っ張っている場合じゃないとか、そんなマイナスなことすら言っている場合じゃないなっていう気持ちもありますが、そんなことも忘れて堂々と稽古場にいないといけないなとも思っています。

——みなさんから、きっと可愛がられそうな感じがします(笑)。
いやいやいや、そうなったら嬉しいですけど!(笑) とにかく一生懸命がんばります!

——“Season鳥”はエンターテインメント性が強いバージョンで、歌があったり踊りがあったりするようですが。
えっ、なんですって? それ、今、初めて聞いた! うわ〜、変な汗が出てきた(笑)。でも私、新感線に出ることが決まって、まず聞いたんですよ。「歌いますか、踊りますか?」って。だけど確か、『髑髏城の七人』はなかった気がすると言われて、自分でもDVDで確認したら「ないなー」と思っていたんです。完全に、油断していました。

——どうですか、歌と踊りへの自信は。
いやあ、もう何が起きても私は一生懸命やるしかないので(笑)。

——アクションに関してはいかがですか。
ちょっとした受け身をするとか、そういう経験はありましたけど、こういうちゃんとした殺陣で戦ったりするのは初めてです。がんばります!

——新しい劇場でやる、ということに関してはどうでしょう。
そこは未知すぎます(笑)。立つ側としては、とんでもない運動量になりそうですよね。特に沙霧は物語のキーパーソンでもあるわけだし、いったいどうなっちゃうんだろう…?といろいろなことを想像しすぎて、ショートしそうです(笑)。

——では最後に、お客様に向けてお誘いのメッセージを。
新たな劇場で、今までたくさん進化してきた『髑髏城の七人』が2017年の夏、“Season鳥”でもさらに突き進んで進化を遂げます。こんな大事件を見逃すのは絶対にもったいないと思うので、ぜひIHIステージアラウンド東京にいらしてください!お待ちしています!!