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撮影レポート 早乙女太一 篇

2017.05.26

2011年版『髑髏城の七人』に引き続き、“Season鳥”でも蘭兵衛役を演じることになった早乙女太一さん。衣裳、メイクを整えてスタジオに颯爽と登場すると途端に「わあ、キレイ!」と感嘆の声。同じ役を演じるとはいえ、やはり蘭兵衛もこれまでとはがらりと印象が違って、捨之介が“黒”、天魔王が“赤”だったキャラクターのイメージカラーも蘭兵衛は“白”でいくとのこと。このように髪も長い白髪で、左肩と裾に深紅の彼岸花を大胆にあしらったデザインの真っ白い着物を着用しています。

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二連にして首にかけた数珠は、バストアップの時と全身を撮影する時とでバランスが変わるため、その都度小道具担当の高橋岳蔵さんが長さを微調整している模様。髪の生え際の部分、陰の具合のチェックが終われば、撮影開始です。アートディレクターの河野真一さんはモニターに映る早乙女さんの姿を目にすると早速「前回より、だいぶ大人になったなあ。無界屋の主人然としている」と感慨深そうにぽつり。

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今回もブロワーやサーキュレーターを巧妙に使って、風を起こしながらの撮影になります。カメラマンの野波浩さんの「顔周りの髪の毛がなびくように」との難しそうなリクエストに応えるのは、今回もヘアメイク担当の宮内宏明さん。ふわ〜っと、弱めの風を絶妙な技でコントロールしていきます。

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そして蘭兵衛の持つ小道具は仕込杖ならぬ、刀が仕込まれている横笛。もちろん、この笛も赤と白で塗られています。この笛を手に、レンズの前でしなやかに殺陣を繰り広げる早乙女さん。スタジオのあちこちから「カッコイイ……!」と呟きが漏れ、河野さんもモニターを見ながら頷き、いかにも満足そう。ここではアクション指導の川原正嗣さんが入り、笛を手にしたポーズや動きを次々とつけていきます。

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さらに、今度は大型のブロワーで風を吹かせることになり、河野さんは衣裳スタッフに「風を当てて、羽織の内側がチラッと見えても大丈夫?」と確認。裾はちょうどいい位置に浮かせられるように、テグス糸を縫い付けてスタッフが引っ張ることに。

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ちなみに衣裳担当の堂本教子さんによると、やはりこの白い着物も、彼岸花のデザインでというのは、いのうえさんからのリクエストによるもの。さらに、この少し長めの羽織の丈、袖丈は早乙女さん好みの長さで仕立ててあるとのこと。生地も柄からオリジナルで作っており、彼岸花をプリントした上から金糸でデコレーションしたそうで、よく見ればこの彼岸花、赤色といってもいろいろな濃さ、明るさで描かれているのがわかります。チラッと見える襦袢と裏地は、彼岸花の茎の色と同色で揃えているところも粋。帯はイタリア製の布を使っているそうです。本番用の衣裳は「未定ですが、柄の部分をさらにデコるかも?」とのこと、衣裳好きの方はどうぞチェックしてみてください。

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野波さんから「次は、体重移動してみて」と言われると、早乙女さんは腰を落としてゆっくりと動きながら、手にした笛を構えます。左手で肩に担ぐようにポーズをとると「おーっ、それそれ! かっこええなあ、おい!」と河野さん。さらに「口を開けて、叫んでみて」「今度は歯を食いしばって」「そこで思い切り、睨んで!」などさまざまな注文に応えていく早乙女さん。強めの風に髪を振り乱しての迫力ある形相には「血管浮いてるところが、むちゃかっこええ!」「こんな綺麗な人になら、手にかかっても満足かもー」「もう、全カットが素敵すぎる!!」と、もはやモニター脇のスタッフの口からは褒め言葉しか出てきません。野波さんが「よーし、ストップ!」と声をかけると、ほうっと大きく息をつき、ニコッと微笑む早乙女さん。

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撮影終了後、二度目の蘭兵衛に取り組む早乙女さんにも“Season鳥”への意気込みを伺ってみました。

——長時間の撮影、お疲れさまでした。劇団☆新感線への参加もこれで4度目ですから、慣れたものかもしれませんが。
そうですね。このメイクをすると「ああ、新感線だ!」という気持ちになります(笑)。
6年前にやったのと同じ役とはいえ扮装もイメージもガラッと変わっていますが、撮影していたらいろいろなことを思い出しました。前回、2011年版の『髑髏城の七人』の時にはイヤな思い出がいっぱいあったもので、その苦しい感じも懐かしく思い出しながら。

——イヤな思い出、ですか?(笑)
いやあ、あの時はもう、ずーっと緊張していたものですから。

——あんなにカッコ良かったのに。
いやいやいや(笑)。基本的には、お芝居に対して自信がなかったので怖かったんだと思います。殺陣ではもちろん頑張るんですけれど、それ以上にお芝居の部分でももっと頑張りたいと思っていたのに、なかなかできなくて。もう周りのことなんて何も見えていない状態でした。でも『髑髏城の七人』の後、『蒼の乱』(2014年)に出た時に初めてリラックスして柔軟に動けるようになったというか。劇団員の人たちともしゃべれるようになって、気持ちもだいぶ楽になりましたね。その時ももちろん緊張はしていたんですけど。それを経ての今回ということもありますし、これまでの3作品で培ってきたというか、教えてもらったことを生かしつつ、さらにこの6年という月日が流れているわけなので。今回はまたあの時の蘭兵衛とは全然違う感じになりそうですし、あの時できなかったことに再びチャレンジできるというのも楽しみです。

——やっぱり6年たって、ご自身も変わったところがあるでしょうし。
全然、違いますね。あの時は19歳で、あれから僕自身、人間的にもだいぶ変わりました。当時は常に心のシャッターを閉ざしていて人と上手にしゃべれなかったんですけど、今では真反対に近い状態なので。ここでまた同じ役をやれるということは、きっと前回はできなかったことがたぶんできるだろうし。まだ、どうなるかは自分でもちょっとわからないですけどね。いのうえさんがどういう風に演出してくれるのかにもよるし、新しい劇場がどういう舞台なのかにもよりますしね。まあ、(森山)未來さんとは前回も一緒でしたが、阿部(サダヲ)さんや他のキャストの方々のおかげで、絶対に全体の雰囲気が大きく変わると思うので。同じ演目でも、ちょっとこれは別物として考えています。

——森山さんと早乙女さんは同じ役ではありますが、そこに阿部さんが加わると人間関係も、全体のバランスもガラッと変わりそうです。
そうですよね。それに、今回は歌やダンスといったショー的な要素も加わるということですし。エンターテインメント色が強くなった上に、さらに今までにない捨之介を阿部さんが演じるとなれば、相当印象は違ってきそう。その中で、自分の役がどう変化するのか、僕自身もとても楽しみです。

——“花・鳥・風・月”とそれぞれに違う『髑髏城の七人』を、しかも新しい劇場でやるというこの企画を聞いた時、最初はどう思われましたか。
最初に聞いた時は、何のことを言っているのかよくわからなかったです(笑)。今になってみて、これはちょっと大変なことだったんだなって徐々にわかってきましたけど。当初はあまりにすごすぎて、身近に感じられなかったですね。でももちろん、ぜひやらせてもらいたいって思いました。

——早乙女さんから見た、“Season鳥”のカンパニーの印象はいかがでしたか。
座組としては、最も濃いメンバーが集まったチームだと思います。“花・鳥・風・月”、他のキャスティングもだいたい聞いたんですが、“鳥”は特に濃い演劇人が集まっているなあと思いました。自分もその中に入れたことがうれしいです。特に、阿部さんはずっと昔からファンだったので。

——初共演ですか?
そうです。だけど本当に個性が強い方ばかりですよね、しかも歌える人が多い。あとはとにかく僕だけは歌う場面がないようにと願っているところです。

——え、歌わないんですか?
いやー、歌わないんじゃないかと思いますけどねえ。いのうえさんはあやふやな反応だったので(笑)、まだ決まっていないのかもしれないですけど。

——お客様は期待していそうですけど。
いやいやいや(笑)。

——稽古もだいぶ先ですが、今一番の楽しみはなんでしょう。
新感線に出る時は……楽しみがないんですよ(笑)。いつも大丈夫かなって、すごく緊張するばかりだったので。だけど、新感線に出るたびに自分になかった部分を引き出してもらっていますし、毎回必ずレベルアップさせてもらっているので。今回も新たにレベルアップできるよう、がんばりたいと思っています。

——では、ファンの皆さんへお誘いの言葉をいただけますか。
とにかく、あらゆる意味で今回は大きなチャレンジだと思っています。なので強い気持ちを持って僕もこれに臨みますし、大げさじゃなくて歴史に残る舞台になるだろうし。お客様にとっても絶対、一生に一度しか経験できないと思っていただけるような公演になると思うので、ぜひそれをご自分の目で見て、ナマで体感していただきたいですね。