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撮影レポート 森山未來 篇

2017.05.23

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2011年版の『髑髏城の七人』に引き続き、“Season鳥”でも再び天魔王を演じることになった森山未來さん。前回は黒ずくめだったヴィジュアルイメージがガラッと変わり、深紅の衣裳に白髪のドレッドヘア。マントは内側に炎のモチーフがプリントされ、袴風のワイドパンツはインドシルクで、いずれも美しく風になびくようにデザインされています。テスト撮影の段階から「フィギュアみたい」「カッコいい!」「ド迫力!!」と好評で、これまた新たな天魔王の降臨にスタッフ一同のテンションも高まっている様子です。

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また、この個性的なメイクは今回も内田百合香さんが手がけています。特に天魔王の場合は人間味をなくし「面のようでもなく、ロボットでもないイメージ」で、額にはシルバーをグラデーションで塗っているため、照明が当たる加減で表情が怖く見えたり哀しげに見えたりするようになっているとか。より、切れ長の目が強調されたアイメイクもひときわ印象的です。

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ひととおり衣裳を着けてみたところで、アートディレクターの河野さんが「腰のあたりにもうひとつ、アクセントのラインが欲しい」とリクエスト。衣裳の堂本教子さんたちスタッフがその場で工夫して、シンプルだったウエストラインが二重のラインになるように手直しが加えられます。衣裳の変更を待つ間、森山さんはいのうえさん、河野さん、高橋岳蔵さんと話し、朗らかにリラックスしている様子。さらに軽く準備運動を始めると、ぐいーっと足が高く上がり、その身体能力の素晴らしさには周囲も既にお馴染みとはいえ、「おぉ〜」と感心しきり。

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衣裳の変更部分が完成し、首の後ろに炎のような飾りも装着すると、撮影スタート。カメラマンの野波さんが「正面を向いて、スーッと両手を広げていってください」と言うと、クッと歯を食いしばった表情で両手を広げていく森山さん。さらに「腰を落として、手を段違いにして」「ここで思いっきり、マントを広げて」など、あらゆる指示に応えていく森山さんの少し不思議な動きは、BGMとシャッターのリズムに合っていてまるで踊っているかのよう。「どんどん、踊ってください」と野波さんが声をかけると、左手でマントを翻したり、くるっと回ってみたり。両手を使って左右同時にダイナミックに振り上げるとその度に「わあっ、さすがのマントさばき!」と歓声が何度も上がります。

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首の後ろに立ててある襟のような、炎型の飾りの見え具合、バランスを気にしながらの撮影になり、これが姿勢を少し変えるだけで動いてしまうため、なかなかベストの位置をキープするのが難関。身体をひねるととがった部分が顔や首に当たってケガをしかねないため、ミリ単位で体重移動をしては首だけほんの少し戻したり、という微妙な動きの繰り返しに徐々に緊張感が高まります。苦しい姿勢を保つことから生まれる美しいポーズの数々は、モニターに映し出されるたびに今度は溜息が。しかし、休憩前にそのモニター映像をチェックした森山さんの口からは「なんだか小林幸子さんみたいな年末感があるなあ」とボソリ。つい先ほどまで蔓延していた緊張感から一転、笑いに包まれるスタジオ。

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次のカットは膝で立って、低い姿勢で撮ることに。マントの裾の位置をうまく固定できるようにテグスを縫い付けている待機中にサーキュレーターを手にした森山さん。自ら風を自分に向けて涼むお茶目な様子には、またも周囲はクスクス。準備ができると、野波さんは床に腹ばいになって、ものすごく低い視点から撮影を続けます。「もっと狂気のある目で、どこか遠くを見て」「そのまま、じっと、静かに」と言われると、ふうっと深く息をつく森山さん。さらに、赤く鋭い爪がついた手を伸ばして何かをつかもうとする仕草に合わせて、シャッター音が次々に切られていきます。

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新感線には4回目の出演、そして二度目の天魔王役に取り組む森山さんにも、『髑髏城の七人』Season鳥への想いを語っていただきました。

——長時間の撮影、お疲れさまでした。まずは撮影の感想からお聞かせいただけますか。
いや、やはりさすがでしたね。河野さんや野波さんを始め、スタッフさんが全員プロフェッショナルで、僕も何度もお世話になっているので安心感がありました。なんだか懐かしい気分でやらせていただきました。

——2011年版の『髑髏城の七人』以来になりますね。
そうですよね、上演時期から考えれば6年ぶりになるのかな。これまで新感線には21歳、24歳、28歳の時に出ていたので、平均3〜4年のスパンで出ていることになります。でも、そうか、もうあれから6年経つんですね。『髑髏城の七人』も“Season花”、“Season鳥”でキャラクターがそれぞれどんどん変わっていて、もう何が何やら。まあ、“花”の旬の捨之介はわかるとして、今回の阿部(サダヲ)さんがやる僕らの“捨”は何者なのか、今のところさっぱりわかりません(笑)。

——見た目からして全然違いますから。
同じ作品なのに、描いてるマンガ家が変わるみたいな感じですよ。全体の印象としても、“鳥”チームは“花”より平均身長が10cmくらい変わるんじゃないかな。

——その“鳥”チームの天魔王で再び出演をという話が来た時は、正直どう思われましたか。
いやあ、最初は「もう、いいでしょう?」って思ったんです。そもそも再演とか、同じ作品をやることがあまり好みではないので。だけど今回は劇場がちょっと特殊だということと、こういうちょっとおちゃらけた感じのメンツが集まったというし、それでどうせやるのなら「歌わせてくれるんやったらやりますよ」って言ったんです。

——そういうご希望があったんですね。
そうしたら、どうやら阿部さんサイドからもそういう要望が出ていたという噂もあって。そうやって歌が入ったりおちゃらけた場面もある『髑髏城の七人』になるんだとしたら、だいぶ変化があってまた面白いんじゃないかなって今、勝手に思っているんですけど。

——聞くところによると森山さんは事前に、ステージアラウンド劇場の第1弾、オランダの劇場(Theater Hangaar)に行かれたそうですね。
そうなんですよ。結構前ですが行ってきました。よくできている劇場ですよね。客席が回ることで舞台転換がされていくので、その状況で観ている時のあの視覚の感じは、ちょっとあまり経験したことのない観劇体験だと思います。変な遠近感で人や物が迫ってきたり、遠のいていったりするんですよ。でも舞台側が動くというのは想像しやすいですけど、やっぱり客席が回るというのは実際に体験してみないと伝わりづらいかもしれませんね。

——では、オランダで「ここで『髑髏城の七人』をやるのか」と想像しながら観劇されたわけですか。
そうです。いのうえさんのことだから、こんな新しい機構があるって聞いたら大喜びで、あれやこれや考えるんだろうなあって思いながら(笑)。その時点で中島さんが台本を書き換えてくるということも聞いていたので、いろいろと変わるんだろうなとか、この舞台機構をいのうえさんならちゃんと生かせるだろうなと思いながら観ていましたね。それぞれの舞台装置の前には花道というか演者が歩ける通路があるんですが、そこを舞台転換中に通ると、回転中のお客さんの動くスピードに合わせれば止まっているようにも見えるし、いろいろな使い方ができると思うんですよね。場合によっては、いくら走ってもハケたいのにハケられないみたいなことにもなるし。(福田)転球さんあたりはそんな羽目になりそう……、いや、ちゃうわ、今回はそういうことができる人、大勢いるんだ。阿部さんもやれるし、(池田)成志さんも、(梶原)善さんも。もう、みんなハケなくていいや(笑)。あ、でもよく考えたらツッコミがいないですね。阿部さんがツッコみながら、ボケるのかな。(早乙女)太一はそんなんスルーやろうし。成志さんは何言ってるかわからないからツッコミにはならないし、転球さんも善さんもボケやしな。

——森山さんがやってみるというのは?
ツッコミをですか? もちろんやらないです(笑)。いや、やろうと思えばできますけども、下手にツッコむと怪我しそうな人たちばかりですよね。松雪(泰子)さんにしても何度も共演していますし、みなさんよく知っている方ばかりなのでなんだか同窓会みたいな気分なんですよ。

——そして、再び天魔王というキャラクターを演じるにあたっては、どう思われていますか。
もちろんまだ全然わからないですけどね。でも2011年版の時にはシリアスな芝居が多かったから、どっちかというと僕のほうが破綻した芝居になっていったイメージがあるんですが、今回は周りがおちゃらけることが多そうだから逆に僕は落ち着いた芝居にしてもいいのかな…、おそらくそんなことにはならないだろうな(笑)。なんか、わちゃわちゃした、でも締まるところは締まった『髑髏城の七人』になるのではないでしょうか。こうして何度も繰り返してやってきている作品だから、物語の筋自体はしっかり固まっているし、どこを見せ場にすればいいのかということは、いのうえさんとかずきさんが完全にわかっているでしょうから、たぶんそこさえ逃さなければあとは好きにしていいんだよってことになるんじゃないかな。と、勝手ながら、そんな気がしています(笑)。