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撮影レポート 阿部サダヲ 篇

2017.05.19

3月30日(木)にオープンした話題の新劇場、IHIステージアラウンド東京。6月12日(月)まで上演中の劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season花に続く第2弾、絶賛準備中の『髑髏城の七人』Season鳥もヴィジュアルが解禁され、それぞれのキャラクターが“Season花”とはかなりイメージが異なることに驚いた方も少なくないのではないでしょうか。比較的、新感線経験者いわゆる“準劇団員”が多い“Season鳥”のキャストを順に紹介しつつ、今回も恒例のヴィジュアル撮影レポートをお送りいたします。“花”同様に“鳥”のヴィジュアルも、アートディレクターは河野真一さん、カメラマンは野波浩さんが手がけます。

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まずはやはり、共演者、スタッフ、業界関係者、巷の噂も含め、「まさかの捨之介!」と大評判だったのが阿部サダヲさんのキャスティング。この通り、衣裳からして白ではなく黒、着流しではなく忍者風、とこれまでの捨之介像とはまったく違うスタイルとなりました。ヘアメイクを終え、衣裳を整えた阿部さんがスタジオに登場すると案の定、「捨之介というより沙霧とか贋鉄斎といっても通りそうだね」なんて声も聞こえてきます。「女の子みたいな可愛い顔してる」「こういうメイクだとよりキュート!」など、ヴィジュアルの感想もこれまでの捨之介とは真逆といってもいいコメントばかり。

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テスト撮影をしていると、河野さんから「どこかに色が欲しいな、裏地の赤をもっと出したい」とのリクエストが入り、襟を折り返して裏地の赤色が出るように調整したり、髪を結う糸を黒いものから金と赤のものに変更したり、さらには急遽、髪に赤い簪(かんざし)をさすことに。ちなみに今回の“Season鳥”の衣裳を担当しているのは堂本教子さん。劇団☆新感線がらみということでは歌舞伎NEXT『阿弖流為』(2015年)以来の参加となります。堂本さんによると今回の捨之介の衣裳は黒で忍者風にしたい、というのはいのうえさんからのアイデアだとのこと。そこから発想して、このドレープが印象的なハーフコートのような上着に袴風パンツという形になったのだとか。着物と洋服のミックス加減も面白い、ニュー捨之介の誕生です。

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刀にはベルトがついていて、それを背負うというのも珍しいスタイル。その他、爆弾やガンベルトだけでなく、七つ道具がささっているポシェット状のものも身につけています。この七つ道具の中に、折り畳み式の孫の手やタワシを発見した阿部さんは「もしかして、“鳥”はネタものなんですか?」と苦笑い。

準備がすべて整うと、まずは白バック、全身写真から撮影スタートです。この日は、いのうえさんが持参したハードロックのCDをかけながらの撮影で、河野さんから「クールなのと、ニヤッとしているのと撮ります」と注文された阿部さん、「腕を組んでシリアスに」「仕掛けがうまくいったぜ!という笑顔で」「ざまーねーぜ!という表情で」など、さまざまな指示に合わせ瞬時に反応していきます。さらに、野波さんからの「正面を向いて、右肩だけ落として」「もう少し、身体を反らせるかな?」「ひじをもっと上げて」といった姿勢やポーズの細かな指示も加わり、その通りに身体に負荷をかけていきます。

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撮影の途中、ブロワーを使って風を入れると、今度は「その風に布をなびかせたい」という注文が発生。すると、小道具担当の高橋岳蔵さんが手持ちのオーガンジーの布を使ってその場で加工しマフラーのように装着させるというスピード対応で解決。高橋さんのこの対応力、瞬発力、アレンジ力は唯一無二の特殊能力、毎度のことながら感動します。

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続いて刀を使うポーズでの撮影に入ると、アクション指導の川原正嗣さんも加わり、刀の持ち方、構えの仕方をアドバイス。「じゃ、刀を抜いて」と言われた阿部さん、「やー!」と掛け声をかけつつ、動きをつけていきます。「いいじゃん、いいじゃん」と河野さんも満足そうにニコニコ。

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次に、爆弾を手に持った状態で撮ることになると高橋さんたち小道具スタッフがその場に次々と武器を並べ出し、そこには焙烙(ほうろく)玉、火薬袋などの他にバズーカのような武器まであり、ものものしくもなんだか賑やか。特殊効果の南義明さんが用意した煙がたかれ、さらに雰囲気を盛り上げます。河野さんから「イメージは全部の導火線に火がついているような気持ち」「いけるところまで姿勢を低く、地を這うようにして」と言われた阿部さん、緊張した表情で床に這いつくばります。続けて、野波さんが「不敵な笑いで」「次は口を開けてみようか」と言い出すと、重ねて河野さんが「よし、叫ぼう!」と指示。すぐさま「ワーッ!」と爆弾をつかんで叫ぶ阿部さん。こうして、さまざまな迫力満点のショットの撮影は夜の深い時間まで続くのでありました。

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劇団☆新感線にはこれが4回目の参加となる阿部さんに、『髑髏城の七人』Season鳥への想いを伺いました。

——『髑髏城の七人』に捨之介役で出ることが決まって、まずどう思われましたか。
実は、最初は3〜4年前くらいに話を聞いてはいたんですが、その時は、どの演目か、どの役かは分かっていなかったんです。それで2年前あたりから「『髑髏城の七人』を1年間くらいやるみたい」とか「それも新しい劇場でやるらしい」とか、ちょっとずつ情報が耳に入るようになって。でもそのへんは、だいたい(池田)成志さんが情報源のことが多かったので「週休2日らしい」とかのデマもいろいろ聞きました(笑)。結構、舞台に出演している役者の間でも新感線が新たな劇場で1年以上上演するっていうのは有名な話だったので、少し前からドラマとか映画の撮影をしていても役者同士でこの話になることが多かったんですよ。

——噂になっていた。
そう。「僕も誘われました」とか(笑)。これはすごいなと思って。でも、自分が捨之介役だということがわかってきたのは2016年に入ってからだったかな。それで(森山)未來くんが一緒らしいとか、「松雪(泰子)さんも一緒ですよ」と教えてもらったりして、情報をいろいろな人から少しずつ教わりました(笑)。劇場のことにしても「360°、客席が回る」って聞いたんですけど「なんだろう、それ??」って状態でしたね。きっと今までの、髑髏城のイメージとはずいぶん違うんだろうなあ。だって僕、まるで忍者みたいな格好でしたからね。衣裳を見た時、びっくりしましたもん。だいたい捨之介と言えば着流しで煙管片手に走っていくというようなイメージだったので。

——着物の裾から足がチラッと見えたりしながら。
そうそうそう。あれ、好きなんですよ。あれを自分もできるのかと思っていたのに、今回は忍者みたいなイメージだと言われて(笑)。でも、それもまたちょっと面白そうだと思って、より楽しみにもなりました。それに2011年版の小栗(旬)さんが捨之介をやった時、森山くんと早乙女太一くんは同じ役で二人とも出ていたわけでしょう。そこに僕が入ることになるわけだから、セリフも結構変わるんだろうな。演出もですけど、毎回台本を書き換えるのも大変な作業ですよね。

——“Season鳥”は特に、歌や踊りをふんだんに盛り込んで、エンターテインメント性の高い『髑髏城の七人』になると言われていますが。
それは楽しそうですね。確か、そういう噂もどこかで聞きました(笑)。ということは意外と変化球な感じかもしれないですね。そう考えると、少し気持ちが楽です。成志さんとかも、変化球得意だから笑いも増やしていきそうですよね。うーん、だけどやっぱり今までの捨之介みたいな、色気も出してみたかったけどなあ。

——そこはやってみたいところでもある。
でも忍者だもんなあ。衣裳も、全部足が隠れてたからなあ。

——チラリがない(笑)。
チラリ、できないですよ。あれがカッコイイのに。がっつり隠れてた(笑)。そしてもちろん、見せ場のひとつが殺陣でしょうね。いのうえさんからもそのことは言われました。

——身体が動くキャストが揃っていますからね。
未來くんも出るし、太一くんも出るし。贋鉄斎が作る刀もまた違ってくるんだろうな、忍者っぽいものになるのかもしれない。成志さんがやる贋鉄斎だと、普通の刀は作らなそうですよね。

——劇場も劇場ですし、捨之介はかなり走らされることになりそうじゃないですか。
でしょうね。そういう予感、あります(笑)。今回も走らされるんでしょう(笑)。以前、新橋演舞場で染五郎さんと一緒に出た『朧の森に棲む鬼』の時、花道を全力疾走したのも楽しかったし。今度の新しい劇場での花道も、面白そうだからぜひ思いっ切り走ってみたいです。