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撮影レポート 橋本さとし 篇

2018.06.03

東京・豊洲のIHIステージアラウンド東京にて上演される、次なる演目は劇団☆新感線の『メタルマクベス』だと発表になる少し前のこと。都内の某スタジオにて、チラシやTVスポット等の宣伝ヴィジュアルのための撮影が決行されました。ここでは、その中からdisc1の<ランダムスター夫妻>の撮影レポートと、撮影後に行われたミニインタビューの模様をご紹介していきます。
まずは、disc1で<ランダムスター/マクベス橋本>を演じる橋本さとしさんの登場です!

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橋本さんが劇団☆新感線の舞台に出演するのは、実に21年ぶりのことになるため、この日はスタッフ一同もなんだか感慨深げ。ヘアメイクと衣裳の準備を終えた橋本さんが「こんなに長髪なのは久しぶりですよ!」と言いながら控室から出てくると、古参のスタッフから「新感線なのに青い髪ではないけどね!」と声がかけられます。劇団員だった時代、青い長髪のキャラクターを演じることが多かったため、橋本さんといえばブルーの髪のイメージがいまだに強く残っているのです

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今回の宣伝ヴィジュアル撮影は、アートディレクターは河野真一さん、カメラマンは岡田貴之さんが手がけます。小道具として用意されたギターを手渡されると、それを抱えてソファに座る橋本さん。その橋本さんの姿を眺めながら「まるでロックスターや、ホンマに似合うなー!」と呟く河野さん。確かに、王冠を被り、ボリュームのあるファーのジャケットもとてもゴージャス、風格を感じさせます。ちなみに、今回の衣裳を担当しているのはスタイリストの伊賀大介さんで、この錆びたような太い鎖がついた小道具のギターは、新感線の舞台では特殊メイク等でもお世話になっている中田彰輝さんが今日の撮影のために製作してくださったものだそう。橋本さんもギターを眺めながら「これ、かっこええなあ、細かい部分まで良くできてる!」と感心しきり。

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河野さんが「やっぱり、爪は黒くしておこうか」と、ヘアメイク担当の宮内宏明さんに相談し、その場で宮内さんが橋本さんの指に黒のネイルを施していきます。塗られた指をスタッフが団扇であおいでいると「暑いからあおいでくれてんのやーと思ってたら、なんだ、指だけか」と豪快に笑う橋本さん。すると「さとしさん、その衣裳だと暑くなっちゃうよね!」と、すかさずスタジオの温度設定を下げるスタッフ。一緒に仕事をするのは久しぶりでもコミュニケーションは既に以心伝心、バッチリとれている様子です。

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ネイルが乾くと、いよいよ撮影がスタート!
「ギターのネックを斜め手前に構える感じで」、「苦みばしった、シリアスな表情で」という岡田さんからのリクエストに応えつつ、シブめにポーズを決めていく橋本さん。「口元に表情をつけましょうか」という河野さんの注文には、歯を食いしばったり、ニヤリと微笑んでみせたり。

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ライトに青いフィルムを載せていて、影の出具合でブルーの占める全体のバランスが変わっていくため、ちょっとした身体の傾き加減までモニターでチェックしながらポーズを微調整。鎖を手にしたり、ギターのネックに顔を寄せていったりと、橋本さんも少しずつ体勢を変化させていきます。「なんだか、前に攻めていきたくなるなあ」と言いながら橋本さんが前に乗り出すように前傾姿勢のポーズをとると、モニターチェックしていたスタッフ陣からは「おぉー、かっこええ!」と大きなどよめきが。

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セットチェンジをする合間の短いブレイクタイムには、12年前の『メタルマクベス』初演のパンフレットを見つけてパラパラとめくりながら「めっちゃジャパメタやな、懐かしい!」と笑う橋本さん。後半のモノクロ写真の撮影でも、ジャケットを半分脱いで肩を見せたりしつつ、BGMのハードロックのリズムに合わせながらノリノリで撮影を続けていきます。

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スチール撮影とTVスポット用の動画撮影が無事に終了した後、久しぶりに古巣に復帰することや『メタルマクベス』という作品への想いなど、橋本さんに現時点での気持ちを伺ってみました。

——待望の新感線への復帰が叶いましたね、おかえりなさい!(笑)
ただいまです!(笑) いやあ、21年ぶりですからね。なんせ僕の20代は、ずっと劇団☆新感線に費やしてきたようなものでしたから。今、51歳になった自分(撮影当時)が再び新感線の舞台に立ったら、一体どんな感じになるのかは自分でも予測ができなかったんですが、今日こうしてこのヴィジュアルになってみると、「ああー、戻ってきたな!」という気持ちになりますね。

——そういういでたちも、久しぶりなのではないですか。
めっちゃ、久しぶりです。ロン毛自体も久々ですけど、さっき自分の姿を鏡で見たら「アンドレ・ザ・ジャイアントか、俺は!」って思いました(笑)。昔はもうちょっとシュッとしてたんだけど、だいぶデカくなりましたからね。でも久しぶりに、いのうえひでのりさんの演出を受けるということになるので、イケイケでガンガンパワープレイしていた若かったころよりも、少しは成長した姿をいのうえさんに見てもらいたいですし、そうじゃないとアカンなという気もしています。とにかく、気合いだけはあの頃の自分に戻っていますよ!

——『メタルマクベス』という演目で新感線に出演できる、という話を聞いた時はまずどう思われましたか。
『メタルマクベス』の初演当時は客席で観させていただいていて、「この作品、俺も出たかったなー」って思っていた記憶があるんです。だけど、まさかこの作品で自分が復活できる日が来るとは思ってもみませんでした。だから初めてこの話を聞いた時は「うわ、あの作品で?」って思って、うれしかった。だけど僕としては、いのうえさんのGOサインが出たらいつでもどんな作品でもなんでもいいから戻りたい!と、心の準備だけは常にスタンバっていた21年間だったんですけどね。

——しかも今回は観客席が360°回転する、IHIステージアラウンド東京という劇場で、ということになりました。
そう、まさに独特の劇場で、噂に聞くと舞台裏でたくさん走らないといけないらしいですからね。僕、方向音痴なんですよ。だから「さとし、迷子になるんじゃないか?」って、周りからとても心配されています(笑)。そのへんも気をつけつつ、早めに劇場に慣れるように、トレーニングをしていかないといけないな、とは思っています。ま、今の時点ではまだ1日40分程度のウォーキングしかやってませんけどね(笑)。

——今回は<ランダムスター>役を演じるとはいえ、宮藤官九郎さんの脚本で、いのうえさんの演出でもありますから、シェイクスピア作品とはいえ、かなりハジけたイメージの役でもありますよね。
そうですね。僕、宮藤さんの書かれた脚本は今回が初めてなんですよ。ですので、もちろん演出はいのうえさんだから当時の新感線の自分というものも出しつつ、やっぱり新たな面も見せられたらと思っているんです。宮藤さんのセリフまわしや、ストーリー性という魅力に委ねさせてもらいながら、自分としてもいろいろと発見していきたいです。

——いのうえさんから、今回のことに関しては何か言われていますか?
意外と何も言われていないんですよね。僕の出ている舞台を観に来ていただいて、楽屋にいのうえさんがいらっしゃった時にも、僕もなんだかちょっと照れくさくて、特に何も聞けなくて。だから、いのうえさんにはさっきみたいに「久しぶりに帰ります、ただいまです!」なんて、言えないですし。だけどいまだに、自分の中では劇団☆新感線という場所は一番自然体でいられる場所でもあるので、このままぬるっといてもきっと違和感ないし、これでいいのかなって(笑)。だから、いのうえさんとは事前に言葉で会話するというよりも、やはり稽古場で「ああ、そうだった、いのうえさんの演出はこんな感じだったな」って感じ合えればいいのかなという気がしています。あ、そうだ、ただ一言「体力つけとけよ」ということだけは言われましたね。これは、よっぽどなんだろうなーって思いました。

——実際に、IHIステージアラウンド東京には行かれましたか。
『髑髏城の七人』の、それぞれのシリーズを観に行かせていただきました。『髑髏城〜』は僕も初演に出させていただいていますが、活劇なので立ち回りも非常に多いですからね。「あの劇場で活劇をやるのは本当に大変そうだなあ」なんて、他人事のように観ていました。でも観終わった時に「あ、ここで俺もやるんだー」って思い出して(笑)。たぶん『メタルマクベス』は、あそこまで立ち回りは多くないのではないかと思いますけれども。

——舞台裏でたくさん走らなきゃいけないかもしれませんね。
じゃ、そこはもう、橋本じゅんさんと一緒に、走れるだけ走っていきたいなと思います。

——橋本じゅんさんと一緒に出られるということも。
めっちゃ、うれしいですよ。やはり学生のころからの兄貴分で、橋本じゅんさんについていく形で劇団☆新感線に連れていってもらったので、僕が今ここにいるのは本当にじゅんさんのおかげなんです。若かったころは“ダブル橋本”とか“じゅんさと”とか、セットで呼ばれていたくらいですしね。そのじゅんさんと、劇団☆新感線でまた一緒に芝居ができるのは本当に楽しみ。だけど、じゅんさんって厳しいんですよ、稽古の鬼ですからね。僕はというと、稽古はどれだけ抜けるかというところでやってた人だったから(笑)。ま、今回は久しぶりにシゴいていただくつもりです。

——そして、disc1の<ランダムスター夫人>役は濱田めぐみさんです。
めぐちゃん、はまめぐ、濱田めぐみさんですね(笑)。もう、めぐちゃんとは既に別の作品(『二都物語』(2013年))で夫婦役をやっていますから。あと『マーダー・バラッド』(2016年)でもご一緒しています。もう、彼女の舞台に対する想いにしても姿勢にしても、そして歌はもう言わずもがな、本当に素晴らしいですからね。しかも、歌も演技もただうまいだけじゃなくて、魂というものが入っていて。共演していても、毎回感じるものが違うんですよ。本番に全力で投げかける球をバチーって受けることを、お互いに楽しめる関係性だと思いますね。かといって、ふだんはとても気さくで可愛らしい人なので。きっと今回もまた、舞台を降りたあとも一緒に楽しく遊べるんじゃないかなーと思っています。

——また今回はdisc1からdisc3まで、3パターンの座組の『メタルマクベス』が誕生することに関してはいかがですか。
また、この3パターンが全然キャラクターの違うキャストになっているので、面白いですよね。disc2の尾上松也さんとはご一緒したことはまだないんですが、『エリザベート』でルキーニを演じている時の松也さんを拝見したことがあって。やはりひとつひとつの動きというか、表情ひとつとってもすごく残像が残るんですよね。コミカルな芝居もお上手で、コミカルな中にも決めるところはすごく決めてくる、という。説得力もあって、お客さんの目をひく役者さんだな、さすがだなあっていつも思います。今回は共演することはないんですけれども、同じ役をどういうアプローチで作ってくるのかなっていうのがとても楽しみです。そして(浦井)健治は、カッコよすぎますよね。きれいだしカッコイイだけじゃなく、カワイイなんて卑怯ですよ、ハッキリ言って。人となりも天然さんでふだんはふわーっとしているけど、舞台に立った時の情熱は誰よりもアツくて。ミュージカルだけにとどまらず、超大作の作品やら、よくこんなセリフ覚えられるなっていうストレート・プレイやら、ものすごくがんばっていて勢いも華もある。僕にとって、とても眩しい存在ですよ。そんなお二方と並んで、僕ひとりオッサンが混じっているんで大丈夫なのかなあ、と心配です(笑)。

——その三人の中では、一番年上ですね。
ダントツで、年上ですよ。彼らのほうが体力は充分あるだろうし、じゃあ、僕は一体どこで勝負すればいいのかなと、いろいろ考えるんですけれど。僕の場合はバカ一直線でずっとやってきていますし、なにしろぶち当たってナンボだなと思うので、ケガしない程度に身体をいたわりつつ、劇団☆新感線と『メタルマクベス』という作品と、このIHIステージアラウンド東京という立ったことのない未知数の劇場、すべての環境にぶち当たっていくしかないなと思っています。僕なんかひいたらアカン役者なのでね、あの二人に対抗するにはガンガンいったろかなと思てます。とにかく、一発目ですしね。ロック魂でガンガン飛ばして、しっかりと勢いをつけて二人へとバトンを渡していきたいですね。

——では最後に、お客様へ向けてお誘いのメッセージをいただけますか。
まずはやはり、ずっと描いていた僕の中の目標のひとつでもあったんですが、久しぶりに劇団☆新感線に戻ることになりましたので。辞めてからも、いつか絶対に新感線に戻りたいという気持ちはありましたし、自分が育った場所、その原点にこのタイミングで再び立ち戻れるということは、これからの自分の役者人生の分岐点にもきっとなると思うんですね。そこを橋本さとしという役者個人としては、ぜひ大勢のお客様に観ておいていただきたいという想いがとてもあります。そしてこの『メタルマクベス』は、このあとも引き続きいろいろなパターンで楽しめる趣向になっているわけですからね。ここはしっかりと一発目のスタートを切らせていただき、disc2、disc3のみんなにぶっといパイプを渡していきたいなとっています!