見どころ

昨年11月、内藤大助との運命の一戦を制し、日本人6人目となる二階級制覇を達成した亀田家長男・亀田興毅。

今年9月、協栄ジム・坂田健史との因縁の一戦を制し、初防衛に成功した亀田家二男・亀田大毅。
日本人初となる兄弟同時世界王者にも輝いたこの二人が、
12月26日、再び日本ボクシング史に新たな一ページを刻む。
それは、日本史上初となる、兄弟二人による同一開催でのダブル世界タイトルマッチ。

亀田興毅

デビュー当時からの夢、日本人初の三階級制覇を狙う興毅が今回挑むのは、
なんと、WBA世界バンタム級王座決定戦。

ここまでライトフライ、フライの二階級を制覇し、次はスーパーフライ級・・・。

誰もが興毅の三階級制覇への道筋をこう捉えていた。
しかし興毅は、そんな周囲の予想を覆し、二階級上となるバンタム級でのタイトルマッチを選択。
これまでバンタム級での試合経験が一度も無い興毅にとっては、まさに【未知の領域】での戦いを強いられることとなる。
これには、デビュー以来強気な発言を貫いてきた興毅でさえ、「不安が無いと言えば嘘になる」と弱気な一面も覗かせた。
それでも、今回のテーマを「挑戦」と位置づけ、この試合をボクシング人生における大きなステップアップとする為、バンタム級で世界タイトルマッチの舞台へと挑む。

そんな興毅の対戦相手は、ベネズエラのアレクサンデル・ムニョス。
元世界スーパーフライ級王者にして、23連続KO勝利の記録を持つ世界屈指のハードパンチャー。
更に、日本人と行った世界戦においては、ここまで7戦全勝!圧倒的な強さを誇る日本人キラーだ。
興毅にとっては、3月に行ったポンサクレック戦に続き、世界にその名を轟かす強敵との試合となった。
【未知の領域】そして、【強打の日本人キラー】。
果たして興毅は、この二つの試練を乗り越え、
日本人初の三階級制覇という悲願を達成することが出来るのか!?

亀田大毅

そして、初防衛戦の激闘からおよそ3ヶ月。
WBA世界フライ級チャンピオン・亀田大毅も、兄と同じく、一抹の不安を抱えながら自身2度目の防衛戦へと臨む。

その不安とは、ここまで幾度と無く大毅を苦しめてきた減量苦。
大毅本人も、フライ級で戦うにあたり、その減量の厳しさを度々口にしており、
世界王座を獲得した2月のタイトルマッチの際には、練習中に体調不良で倒れるなど、
体にかなりの負担を強いられているのが現状だ。
その為、一部の報道では、「ベルトを返上し、階級をあげるのでは」という声も聞こえていたが、
減量苦を乗り越え、「チャンピオンらしい、見てる人の心が熱くなるようなボクシングをする」と、
自身2度目となる防衛戦に向け、その闘志を燃やす。
大毅のベルトを狙うのは、同級14位のシルビオ・オルティアーヌ(ルーマニア/スペイン)。
アマチュア出身のテクニシャンで、現ヨーロッパフライ級チャンピオンの肩書きを持つオルティーヌは、
母国ルーマニアから情熱の国・スペインへと移住し、己のボクシングを磨き上げてきた。
亀田陣営も、「まだ情報があまり無く、不気味」と、警戒を強める。

今回、初めてヨーロッパ圏の選手と拳を合わせることになる大毅としては、相手のスタイルに惑わされず、自分のリズムで闘うことが重要となる。
仮に、ファイトスタイルの違いなどに戸惑い、リズムを崩すようなことになると、最悪の結末も充分に考えられる。
未知なるヨーロッパの強豪に対し、大毅の王者としての真価が問われることとなる。

亀田和毅

また、この日は「亀田家最終兵器」と称される逸材、三男の亀田和毅も登場!
15歳で、ボクシング大国・メキシコに単身武者修行に渡ると、中南米で最も層が厚いと言われる
「黄金のバンタム」級で活躍。いまや、現地でもその名を知らぬものはいない程の選手へと成長を遂げた。
19歳の若さにして、すでにプロ16戦のキャリアを誇り、いまだ無敗。
現在は、WBC世界ユースバンタム級のタイトルを含む4本のベルトを保持しており、
「近い将来、必ず世界王者になるだろう」とボクシング関係者からも高い評価を受けている。

独学で覚えたというスペイン語を流暢に操る姿は、
「エル・メヒカニート(スペイン語で「メキシコの少年」の意味)」という愛称そのまま。
抜群のボクシングセンスに加え、メキシコでの武者修行で培った強い精神力と負けん気の強さ、
そして何よりも、和毅自身が「最大の武器」と語るその圧倒的なスピードは、
世界王者としての資質を充分に感じさせる。

亀田三兄弟が、揃って同じリングに上がるのは、今回が初めて。
世界タイトルマッチを闘う2人の兄と同じリングで、「それを上回るくらいの面白い試合を見せる」と意気込んでおり、非常にスリリングな一戦となることは間違いない。

2010年12月26日。
日本ボクシング史に新たな1ページが刻まれるこの日、この瞬間を楽しみに待とう。
亀田3兄弟からの、一日遅れのクリスマスプレゼントとして・・・。