TBS「東日本実業団駅伝2011」

2011年11月3日(木)午後1時55分放送




見どころ

窮地に立たされた日本男子マラソン界
別大からニューヒーローの誕生なるか!?

若手の登竜門と呼ばれ続け60年の歴史をもつ別府大分毎日マラソン。これまで多くのマラソンランナーがここから育ち、日の丸をつけて世界の男子マラソン界をリードしてきた。
ところが、今、日本男子マラソン界は窮地に立たされている。昨年、ケニアのパトリック・マカウ選手にマラソンの世界記録(2時間3分38秒)が3年ぶりに塗り替えられたほか、ボストンマラソンで、ケニアのジョフリー・ムタイ選手が非公認ながら、2時間3分2秒の驚異的なタイムをたたき出し、世界は2分台が見えてきた。

その一方で、高岡寿成氏(現カネボウ陸上部コーチ)が持つ日本記録(2時間6分16秒)は9年以上破られておらず、日本男子マラソン界は低迷期を抜け出せていない。だからこそ、今求められているのは、「ニューヒーロー」の誕生だ。2011年の東京マラソンで埼玉県職員の川内優輝選手が現れたように、「英雄」はどこから誕生するかわからない。

そして、今年の別府大分毎日マラソンは、その大きな可能性を秘めた新進気鋭の若手が多く出場する。注目は、マラソンで2時間13分31秒の記録を持つ伸び盛りの涌井圭介選手(ヤクルト)。涌井選手は、拓殖大時代、陸上競技人生最大の屈辱を味わった。箱根駅伝予選会では、在学4年間で3度の予選落ち。しかも、06年は、9位のチームとわずか“1秒差”で本戦の切符を逃すという、信じられない苦い経験をした。実業団に入ってからも、決して派手な成績を残したわけではないが、ここに来てようやく才能が開花しようとしている。これまで、不遇の人生を歩んできた男が、別大で大輪の花を咲かせられるか注目だ。

一方で、陽のあたる場所を歩き続けてきたランナー・東洋大の田中貴章選手にも期待が集まる。田中選手は、「新・山の神 柏原竜二選手」と東洋大の2枚看板を形成。“箱根駅伝に東洋あり!”といわれるほどの黄金期を築いたランナーだ。学生最後の思い出作りという意識はなく、マラソン学生記録にも挑戦する田中選手。怪物・柏原選手より先に、マラソンデビューを果たす。

「別大から世界へ」、2013年モスクワで開かれる世界選手権、その先にあるリオデジャネイロ五輪を狙う、日本男子マラソン界に“救世主”は現れるか!?若手の“攻める走り”から目が離せない。

また、タレントの猫ひろし(本名、瀧崎邦明)が今年7月のロンドン五輪カンボジア代表を目指して出場する。自己ベストは昨年11月にインドネシアで開催された東南アジア大会で記録した2時間37分39秒。この記録を更新すれば、カンボジア代表の可能性は高くなる。