
芸祭でなければできない、芸祭だからこそやりたい作品が、以前から映像化を考えていたこの『少年』です。リリカルな少年時代のピュアな気持ちを掬い取ったこの作品は、同時期にたけしさんの撮られていた映画とはまた違った世界観を持っているかと思います。バラエティーでのたけしさんを見慣れている方には、こんな小説を書かれていたのかと驚かれる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実は、僕のプロデューサーデビュー作がたけしさん原作の『昭和46年 大久保清の犯罪』というドラマだったんです。それからお付き合いが始まり20年、たけしさんはいつも節目節目で一緒にやらせていただいている大切な役者さんです。今回この『少年』を映像化したいとご相談した時、たけしさんには“15年も前の短編が民放のドラマになるの?”と言われました。けれども私は、今という未来に希望を持ちづらい時代に、少年時代の、将来に夢を描いていたあの気持ちを振り返ってもらえるようなドラマができたらと、そう思ったんです。
たけしさんには、第2話の『星の巣』で二人の兄弟に影響をあたえる父親を演じていただくことになりましたが、ご本人は照れていらっしゃいましたね。“金髪で良いのかな?”とも言われたのですが、それはもちろん黒くしてもらいますよ(笑)。
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