8月4日開幕

世界陸上で生まれた世界記録27

世界陸上投てき種目初の世界新
“1投目勝負”で史上最高レベルの戦いに決着

世界陸上10回目の開催にして初めて、投てき種目の世界記録が誕生した。
オスレイディス・メネンデス(キューバ)がヘルシンキ大会最終日の女子やり投げの1投目に71m70をマークし、自身が4年前に出した世界記録を16cm更新したのである。

メネンデスは短い助走から、黒人選手特有のバネのある身体能力を生かした投てきが特徴で、大舞台に強い。ヘルシンキ大会は2001年エドモントン世界陸上、04年アテネ五輪に続く3個目の金メダルだった。

五輪&世界陸上に強かったのは、1回目の試技で好記録を出すことも武器となった。投てきの問題点を徐々に修正して、後半の試技でその日の最高記録を出すタイプもいるが、1回目でリードすれば、相手にプレッシャーを与えられる。
メネンデスはアテネの五輪新記録(71m53)も、ヘルシンキ大会の世界記録も、1投目にマークしている。「私はいつも、最初の投てきで最高記録を投げられるように集中しています」
その集中力が、アテネ五輪では銀メダルの選手に5m71の五輪史上最大差をつけることになったが、ヘルシンキ大会ではC.オーベルクフェル(ドイツ)が2投目に70m03と追い上げてきた。
これも世界歴代2位の大アーチで、ヘルシンキ大会は女子やり投げ史上最高レベルの戦いになった。

オーベルクフェルは、メネンデスとは対照的に長い距離を使って助走をして、スピードを上げるタイプ。それ以前の自己記録を約5mも更新する投てきだった。
オーベルクフェルがさらに記録を伸ばしてくるとピンチだったが、2回目の70mスローで身体のどこかを痛めたのか、3~5投目をパスした。
最終6投目も59m67に終わってメネンデスの金メダルが決まった。

「1回目に先制することは有効ですが、楽な気持ちで最後まで待つことはできません。特に今日は、これまでの試合で一番熾烈な戦いでした。脚に痛みがあったので、金メダルが決まったときは本当にホッとしました」
女子投てき界きっての勝負師も、素顔は普通の女性だったということだろうか。

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