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人生最高レストラン

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放送内容(2020年11月28日 #186)

ごちそう様 市川猿之助さん

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ゲストは、四代目市川猿之助さん。歌舞伎俳優として立役も女形も幅広く演じ、また「スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』」など歌舞伎界の常識を覆し新たなカタチを作り続けている猿之助さん。活躍の場は歌舞伎だけに止まらず、今年は大ヒットドラマ「半沢直樹」で適役・伊佐山部長を怪演。『詫びろ!詫びろ!!詫びろ!!!』の迫力ある名台詞シーンは大きな反響を呼んだ。そんな猿之助さんが歌舞伎人生と共に、期待通り超豪華な“おいしいもの”のお話を語った。

■お品書き

京都・嵐山「大人の振る舞いを教えてくれた“日本料理”」
市川猿之助さんが子どもの頃に行った、忘れられないお店がある。それは、京都の嵐山にある「京都吉兆」。「京都吉兆」と言えば、食通なら誰もが憧れる日本料理の名店。父である四代目市川段四郎さんの知人に招かれたとはいえ、「吉兆」初体験が小学校低学年というのは驚きだ。

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仲居さんや舞妓さんに遊んでもらったことと共に、猿之助さんの記憶に蘇るのが、味もわからずに食べた…ある料理。猿之助さん曰く、『瓢箪をくり抜いた器に入っていた』というが、実は瓢箪と思っていたのは冬瓜だった。その料理は、「冬瓜のけんちん」。半分に切って真ん中をくり抜いた冬瓜に、手羽先・手羽元・鰹を使い伝統的な技法で作った、うま味の深い鶏汐出汁を注ぎ、さらに具入りの餡かけを入れる。そして、焼いたうなぎを添えた一品。どう見ても子どもが美味しいと食べるものではないが、当時の猿之助さんが興味津々だったのは料理ではなく、冬瓜の器。見たことのない“瓢箪のような”器をおもちゃにして遊びたくて仕方ない少年時代の猿之助さんであった。

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「吉兆」といえば、鯛茶漬け。鯛の刺身にごまだれをかける「御鯛茶」は、創業以来多くのお客に親しまれる人気料理の一つ。

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さらに、猿之助さんの記憶に残る料理が「松茸 座敷焼き」。炭火網にのせた松茸に奉書紙を被せ、水を吹きかけながら蒸し焼きにする一品。目の前に山のように盛られた松茸を鮮明に覚えているという。

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子どもの頃から、高級料理店で豪華な料理を味わっていた猿之助さんだが、ただ高級料理を食べた記憶が残っているわけではない。女将さんから「畳の縁は踏んではいけない」「握り箸はいけない」など所作やマナーを教えてもらい、それが自然と身に付いていることに感謝しているという。

*店舗情報:「京都吉兆」京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町58

京都・西陣「医者も驚く!奇跡の“スッポン”」
伯父の三代目市川猿之助(現・二代目市川猿翁)が始めたスーパー歌舞伎シリーズ。それを「スーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)」として継承したのが、四代目となる猿之助さん。その第2作として、2015年から2018年まで公演したのが話題作「スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』」だった。演出も手掛け、座頭として精力的に舞台に立っていた猿之助さんだったが、2017年の公演で思わぬ事故に遭う。本番中に舞台装置に衣装が巻き込まれ、左腕を骨折して全治3カ月の重傷。一歩間違えれば大量出血で命も落としかねない事故だった。幸いにも、観劇していた整形外科医がすぐに駆け付けて応急処置を施し、その後の迅速な対応により一大事には至らなかったものの、左腕は長時間挟まれていたため皮膚が壊死していく可能性があったという。医師からは、臀部からの皮膚移植が必要と言われていたそう。しかし、そんな状況でも猿之助さんは超ポジティブ。『皮膚移植やりたくないな。皮膚にいいものは、フカヒレ、ツバメの巣、すっぽんだな』と考え、入院当日の夜から毎日『皮膚のために贅沢させてくれ』と頼み込み、「すっぽん」「フカヒレ」を差し入れしてもらい食べ続けたという。中でも毎日飲んでいたのが、京都・西陣にある「大市」の「すっぽんスープ」だった。

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創業340年以上、江戸の元禄時代から受け継がれてきた伝統の味を提供する「すっぽん料理」の専門店「大市」。コークスを使った1600℃という高温で一気に加熱する「すっぽん鍋」は、とにかくスープが絶品。具材は、すっぽんのみ。味付けは、秘伝の醤油、特注の酒、生姜だけで、余計なものは入っていない本物の美味しさを追求した一品。ちなみにシメは、絶品スープに米と餅を入れ、卵で閉じた雑炊。何杯もおかわりしたくなる美味しさだという。

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そんな「大市」の「すっぽんスープ」をお取り寄せして毎日飲み続けた猿之助さんに、奇跡が起こる。左腕を診察した医師から、『皮膚が再生してきている。移植しなくていい』という思わぬ言葉が出たのだ。そして、医師としての見解ではなく個人的見解と断った上で、こう言ったという。『おそらく、すっぽんなど食べられていた物が皮膚を再生したんだと思います』。“医食同源”を信じ、日頃から食を大切にして健康でいようとしている猿之助さんだが、何より『皮膚を治したい』というポジティブな考え方が奇跡を起こしたのかもしれない。

*店舗情報:「大市」京都市上京区下長者町通千本西入ル六番町

神奈川・横浜「親友ゆず北川悠仁と飲んだ“バーのカクテル”」(人生最高の一品)
市川猿之助さんの“人生最高の一品”は、親友の北川悠仁さん(ゆず)と飲んだ「バーのカクテル」。親友と2人きりでお酒を飲んだのは、猿之助さんが珍しく悩みを抱えていた時。実は、スーパー歌舞伎で「ワンピース」をやる話が来た時、『あの大ヒットマンガの世界をどうやって歌舞伎にすればいいのか…まったく成功する気がしない』と、不安で仕方なかったという猿之助さん。当時、誰にも相談せず一人悩んでいた猿之助さんだったが、食事の席で元気がないことを北川さんに指摘され、親友だけに悩みを告白する。すると、北川さんは『じゃあ、一杯飲みに行こう』と猿之助さんを飲みに誘ったという。連れて行ってくれたのは、横浜の「バスBAR」だった。古くなったバスを改装したオシャレな車内から月と海、赤レンガ倉庫を眺めながら、大好きなブラッディ・マリーを飲んで親友と語り合った猿之助さん。『どうすればいいか分からないから、力貸してよ』と珍しく弱音を吐く猿之助さんに対し、北川さんは『わかった。じゃあ曲を書く』と言ってくれたという。そうして誕生したのが、ゆずの名曲「TETOTE」だった。後日、稽古場に届いたデモ曲を聴いた猿之助さんは、それまで悩んでいた気持ちが晴れ、『自分たちが思う方向性でいいんだ』と共演者、スタッフ全員が一致団結できたという。親友の北川さんとブラッディ・マリーを飲みながら過ごしたあの夜は、猿之助さんにとって忘れられない夜となった。

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横浜にあった「バスBAR」は、2018年3月に閉店。しかしその後、「バスBARを残したい」という人たちが立ち上がり、クラウドファンディングで支援を募り、現在は新しいオーナーのもと、静岡県の海が見える場所で営業を続けている。

*店舗情報:非公表

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