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2005年06月13日
 「下北沢再開発問題」第2弾!〜反対派の代替案に対し、行政の対応は?

今朝のリポートは宮脇花織が担当しました。

「下北沢再開発問題」第2弾!
下北沢の通り 今回は昨年9月にこのコーナーでお伝えした「下北沢再開発問題」の続編です。世田谷区では現在、下北沢地区などの街づくりを進められていますが、そこで問題になっているのが「補助54号線」という道路です。この道路は昭和21年に立てられた計画が元になっているのですが、 60年近くも経った今頃になって実現に向けて急速に事態が進行しています。数度の見直しを経ているとはいえ、基本的なルートは当初のまま。 その間に街の姿は大きく変わっているわけで、ここにまったく新たな道を作るというはかなり無謀な計画のようにも思えますが、 行政側は「都市交通の円滑化」「防災上のメリット」(下北沢地区には災害時に緊急車両が入りにくい地域があります)などを道路建設の理由に挙げています。
下北沢のカフェ前しかし一方で、下北沢は小さな路地にライブハウスや古着屋、カフェなど個性的なお店が建ち並び、車よりも歩行者が主役という街。のんびりとそぞろ歩きができる「界隈性」が大きな魅力になっています。その街の真ん中に大きな道路が出来ればどういうことになるでしょうか?もしかすると街が分断されてしまい、下北沢の魅力が損なわれてしまうのではないかと心配する人も少なくありません。実際、計画への反対署名はすでに1万人を超えています。(詳しくは「現場にアタック」のバックナンバー2004年9月20日をお読みください)


反対派が代替案を提出
下北沢の通りさて、ここからが今回の本題です。反対派としても、ただ 「道路を作るな」というだけでは説得力がないということで、先日「代替案」をまとめて、世田谷区や東京都に提出したそうなんです。 どのような代替案なのか、反対派グループの“Save the 下北沢”(http://www.stsk.net/)の金子賢三代表に伺いました。

「今回の私たちの代替案は、行政が主張する補助54号線の必要性に対し、ひとつひとつ反証していったものだと思ってください。補助54号線がなくても下北沢の街が 抱える問題をクリアすることができる、むしろ別の方法のほうがより良く解決できるのではないかという提案です。例えば、防災上の問題も 補助54号線を新設するよりも地下化が決定している小田急線の跡地を歩行者中心の緑道とし、災害時には緊急車両が通れるようにした方が効果的だと思います。」

下北沢駅前確かに地図を見るかぎり、補助54号線では「消防活動強化エリア」の一部をかすめるだけなのに対し、小田急線の跡地の方がカバーする部分が多く合理的なように思えます。

さて、「都市交通の円滑化」についてはどうなのでしょうか?再び“Save the 下北沢”の金子代表のお話です。

「私たちは昨年11月に交通量調査を行い、その結果、下北沢地区の交通量は減少傾向にあることがわかりました。 さらに、計画ルートの北側を並行して走る井の頭通りの拡幅工事も進行していますので、これでかなり状況は変化すると思います。 また、多額の税金が投入される事業ですからその費用対効果も分析してみたところ、かかるコストに対しその効果は国交省が定める基準の12%にしか ならないという結果になりました。」

12時間かけて交通量調査を行い、それを交通経済の専門家(“Save the 下北沢”メンバーの 堀江照彦氏)が国土交通省が示すマニュアルに則って分析したところ、「補助54号線」はコスト(莫大な用地取得費がネック)に見合った便益は期待できないとの結論に至った ということです。


果たして行政側の対応は?
下北沢にて “Save the 下北沢”が示した代替案や交通量調査・分析の結果が妥当なものなのか、 素人の私たちには正直言って判断がつきません。ただ、一般市民が自力でこれだけのものを出してきたことに対し(特に交通量推計と費用・便益分析は数十ページにおよぶ詳細なものです)、 提出を受けた行政としてもまったく無視するというわけにはいかないでしょう。行政はこの代替案などをどう受け止めるのか?世田谷区の担当者の方に聞いてみると、、、

「そのような質問は反対派が押しかけてきて挑発するようなもので、取り合えない。道路を作ることはもう決まったことなのだから、今さら補助54号線を前提としない街作りなどありえません。 補助54号線を前提としない代替案など論評する立場にないし、その必要もない。反対する人たちはもともと発想としてわかっていないのだから、そういう人たちに特段の説明をする必要もないし、 計画をやり直すなんて事はありえない。当然でしょう?そりゃ、どんな行政計画であっても少数の反対者はいますよ。しかし一日も早く実現して欲しいという多くの人がいるんです。サイレント・マジョリティと言うでしょう。」

下北沢の町並み、、、取り付く島がありませんでした。手続きを経て決定したものなのだから今さら蒸し返すなと。代替案の中身がどうあろうと、今さら「補助54号線を前提としない街作り」なんて相手にしない、と。 決定と言ってもまだ東京都の認可を受けたわけではないし、「補助54号線」そのものの意義が問われているなかで、この答えはあんまりじゃないでしょうか?


本当の民意はどこに?
本多劇場前 もうひとつ疑問なのは、そもそも反対意見は本当に少数派なのか?ということです。区の説明では圧倒的多数がこの計画に賛成しているとのことですが、 その根拠はどこにあるのでしょうか?「サイレント・マジョリティ」が賛成だと断言できるのは、なぜなのでしょうか?その根拠が示されなければ、 反対派に対して「一部の少数派」とレッテル張りをしているだけのようにも思えますが、“Save the 下北沢”の金子代表もこの点について、次のように述べています。

「僕たちは今回、交通量調査なども行って反対意見の根拠を数値で示しました。行政の側も僕たちのことを少数の反対意見と決めつけるなら、 その根拠をきちんとデータで示して欲しい。納得できる形でそれが示されれば、僕たちはそれ以上何も言わないし、この運動を解散してもいいと思っています。」

本多劇場前少数意見なら無視して良いというわけではありませんが、反対派としてはそもそも少数意見だとは認識していないということです。番組でも昨年9月にこの問題を取り上げた際に、 独自の街頭アンケートを実施しましたが、その結果は賛成が2、反対が16、どちらでもないが2という結果でした。 サンプルが少ないので参考程度にしかなりませんが、行政側の「圧倒的多数が賛成」という主張には違和感を覚えます。特に、区の担当者の方は 「この計画は地元商店街の自発的なもの。その意思を尊重しなければならない。」と仰っていましたが、これは「補助54号線」についてはあてはまらないように思います。 商店街が望んでいるのは「駅前広場」の実現であって、「補助54号線」そのものを望んでいる人が果たしてどれだけいるのか疑問です。実際、私たちが直接2人の商店主の方に 個別に聞いたところ、2人とも「補助54号線には反対」とのご意見でした。ただ、商店街の悲願である駅前広場の整備が、補助54号線とセットにされているため、 計画全体には反対しづらいようです。いずれにせよ、マスコミに対して「圧倒的多数が賛成」と言う以上、その根拠を示さなければ意図的なミスリードになりかねないのではないでしょうか?


行政側の調査・分析は?
下北沢にてどうも行政側には説得力のある客観的なデータが乏しいように思えますが、そもそも行政側は「補助54号線」を 決定するにあたって、どのような交通調査や便益の分析を行ったのでしょうか?その点について再び世田谷区の担当者の方に聞いてみると、、、

「実際に道路を建設する時には調査を行うことになる。作るときにやればいいんでしょ?要件としてやることになっているのだから、それで十分!」

どうもまだやっていないようですね。「補助54号線はもう決定したことなのだから、蒸し返すな。もう変更や見直しはできない」と言っておきながら、その根拠となるはずの調査や分析は、まだやっていない。 「えーっ!順番が逆なんじゃないの?」と驚いてしまいます。これから行う調査・分析の結果、コストのわりに効果に乏しいという結果が出たらどうするのでしょうか? まさか「補助54号線ありき」の結果しか出ない仕組みでもあるわけじゃないとは思いますが、、、。
どうも取材をすればするほど「補助54号線」への疑問は大きくなるばかりです。

担当ディレクター 長谷川裕
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